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パウエル議長の発言で方向感を占う期間に − 今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(8/22-8/28)

先週の暗号資産(仮想通貨)市場は、週末26日に予定されていたパウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の講演を意識して、ビットコイン(BTC)が292万円前後、イーサリアム(ETH)が21〜22万円程度の動きとなり、週前半はもみ合いとなりました。パウエル議長の講演後は、株式市場の大幅下落を受けてビットコインが275万円前後、イーサリアムが20万円前後へと、ぞれぞれ下落しています。

パウエルFRB議長の講演

先週のコラムで、パウエル議長から「景気の減速という痛みが伴っても強い姿勢でインフレに向かっていくコメント」が出されるのではないかと予想を書かせてもらいましたが、今回の講演はまさしくそのような内容となりました。講演のポイントは次の通りです。

調整に向かう株式市場

米国株式市場は、7月の利上げ以降、楽観的な見方が台頭し大きく反発をしていました。先週は週初からパウエル議長の講演を意識して調整気味な動きとなっていましたので、議長講演後の動きは落ち着いたものになるのではないかとの期待もありましたが、株式市場の抱いていた「早期利下げへの転換シナリオ」を強く牽制したものとなりました。

今後、株式市場は金融引き締めによる企業業績への影響を織り込み始めると考えられ、再度徐々に調整色を強めることになると思われます。

暗号資産市場の動きは?

暗号資産市場については、株式市場につれて調整色を再度強める展開となるのか、あるいは下値を固めながら株式市場から離れた展開へ進むのか、今後の方向感を占っていく期間に入っていくと考えています。当面は、発表される経済指標と9月の利上げなどの動きをみながら慎重に動きたいところです。

また、今週は下記のような経済イベントが控えています。特に1日の米ISM製造業景況感指数8月と、2日の米雇用統計は9月開催のFOMC(米国公開市場委員会)にも影響を与える可能性がありますので、要注意と言えるでしょう。

 

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。