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Web3領域への女性進出について考える—Web3Girls Careerイベントレポート

Web3業界に携わる女性と、これから活躍したい女性を応援するコミュニティ・Web3Girlsが主催する「Web3領域への女性進出について考える Web3Girls Career 『転職』『副業』『起業』」が、東京・渋谷のCryptoBase@NIB SHIBUYAで2月21日に開催された。

本イベントは、Web3業界で働く女性たちのキャリアがテーマとなり、「転職」「副業」「起業」の3つについてのトークセッションが行われた。

開催のきっかけとなったのは1月20日発売の月刊暗号資産3月号におけるインタビューで、Web3Girls創設者のたぬきち氏(@web3_honey)と株式会社ガイアックスの西村環希氏(@tamaki_nisimura)が意気投合し、「一緒にイベントをできたらいいね」という会話から企画が進められた。

イベント概要

冒頭で、本イベントでモデレーターを務めるNFTアーティストのAme-chan氏(@KawaiiGirlNFT)が「Web3領域の仕事はまだ女性が少ない。Web3領域での女性のコネクションを作る上でもイベントは欠かせない」とWeb3領域における女性進出の現状に言及し、セッションは始まった。

Web3で得た知識を本業に、本業で身に付けたスキルをWeb3に生かす

第1セッション「本業の傍らWeb3業界で副業を持つ女性」では、モデレーターとしてAme-chan氏、登壇者として、NFTプロジェクト「MEGAMI」や「IROIRO」に携わるじょあんな氏(@aonisai_natuki)、ブロックチェーンゲームインフルエンサーとして活躍するあき氏(@aki_playaxie)、そしてエンジニアのMaoh氏(@Maoh_design)が参加した。

3名とも日中は本業で食品メーカー、エンジニア、コンサルティングとして働いている。Web3業界で副業するきっかけについて、あき氏は「動画の編集をしていて、ゲームで稼げるという話を聞いて一昨年にプレイヤーとしてスタートしました。次に、ゲームを教える仕事と共にギルドの広報の仕事を始めました。Web3という言葉は、業界に入るまで正直知りませんでした」と赤裸々に語った。また、Maoh氏は「テレワークになり時間があるとゲームをしてしまうので、時間を無駄にしたくないと思い始めました」と述べた。

1日のスケジュールとしては、3名とも8時間の睡眠を取るようにしているようで、副業は本業が終わり、おおよそ20時から22時までに行っているという。本業と副業の両立で気を付けていることは「本業の後ろ倒しは避ける」「本業でも副業でも無理をしない。できないことは断る」点を挙げた。

Web3領域の副業で良い点としては「人脈を作れる点。色々な人と出会えてコネクションができる」「新しいコードと出会えること。いろいろなエンジニアと出会える」ことが挙がった。特にじょあんな氏は「元々アニメのNFTを売っていて、業界に入ったら大好きな絵師に出会えて友達になれた。また、Web3で得た知識を本業に生かせる。そう考えると、副業も本業の会社のためにやってるんだぞという気持ちになる」と自身の経験をもとにメリットを伝えた。

これから副業に就きたい人へのアドバイスとして、「自分の得意分野を作ること」「本業で身につけたものをWeb3領域で生かすこと」「大切なことは契約を結んで満足する給料を貰うこと」などといったことが強調された。

セッションの様子
左からAme-chan氏、あき氏、Maoh氏、じょあんな氏

Web3はまだ黎明期。自分の得意分野を活かす

第2セッション「Web2企業からWeb3企業へ転職した女性」では、モデレーターとしてOasysの大枝朱里氏、登壇者としてはデジタルファッション領域で活動するKay氏(@Ks_Library_)、KawaiiGirl NFTに携わるGumi-chan氏(@KawaiiGirl_EN)、株式会社フィナンシェで広報を務める八木田愛実氏(@Yagimeeeegu)が参加した。

Web3領域へ転職したきっかけとして、Gumi氏は「元々Ame-chanの同級生で、英語ができる人が欲しいと言われてプロジェクトに参加しました」と、現在の活動に至る経緯を説明。「私も英語を生かせる仕事がしたかったので転職しました。Web3では英語が当たり前に使われていますし、できると重宝されます。ですので、英語はぜひ習得して欲しいと思います」と続けた。

Kay氏は元々劇団四季の衣装のデザインをする傍ら、動画の編集などをしていたものの、8時間で数千円の報酬では割に合わないと感じていたそうだ。そうした状況で他にスキルを生かせる領域がないか探していたところ、Web3について勉強できるプラットフォーム「udemy」を見つけたという。Kay氏は、「自分のデザインスキルを活かしてWeb3のデジタルファッションについて学習できる動画をアップしたことがきっかけです。そしてデジタル完結型ファッション専門家集団・The Fabricantのコミュニティマネージャーに就任しました。これもDiscordのコミュニティがきっかけですし、そこがWeb3らしいところ」と述べた。

Web2領域の仕事との違いについて「スピードが圧倒的に違う」「ミーティングが少なくチャットベースで進める。Discordのチャットを使用する機会がかなり多くなる」「年代が若い」ことなどが挙がった。また、内定に至った経緯に関しては「あなたは何がしたいのと聞かれるので、そこは大学の就活とは全然違う」「エージェントというより自分の横の繋がり、人脈で決まった」などの声があり、八木田氏は「ザ・面接という感じではない。オフィスではなく、カフェで話して履歴書すら出さなかった」と述べた。

転職をする人へのアドバイスでは、「Web3のことを楽しむこと。楽しんでいる人に人は集まる。クリプトを楽しむこと」とGumi-chan氏。また八木田氏は「何も知らずにWeb3へ入り、入ってから学んだので、まずは1歩踏み出すこと」、Kay氏は「自分の得意分野をWeb3に持ってくること。Web3はまだ黎明期。その分野に人がいない可能性がある」とエールを送った。

セッションの様子
左から大枝氏、Gumi-chan氏、八木田氏、Kay氏

人のためになるもの、面白いものを作れるかが重要

第3セッション「Web3女性起業家」ではモデレーターにたぬきち氏、そしてMarbleXR株式会社CEOの沙那ダイアナ氏(@s_diana_k)と株式会社HIKKYのさわえみか(@SawaeMika)氏が登壇者として登場した。

ダイアナ氏は母がポーランド人ということもあり同国で育ちその後、日本に帰国。輸出入関連の仕事を経てIT業界に移ったとし、起業のきっかけについて「中学時代にプログラミングをしていたので自分ならではのことをしたかった。ポーランドにはWeb3は少ないので日本で起業しました」と述べた。

さわえ氏は「ゲーム会社でデザイナーの仕事をしていて、あるゲームの宣伝の時に大きな予算を組んでCMを流したのですが、グラビアアイドルが出てるだけでそれが非常に悔しかった」と自身の経験を語った。こうした経験を踏まえ、次のゲームの宣伝時には多めに予算をもらい、バーチャル空間でCMを制作したという。さわえ氏によれば、この取り組みはVtuberの走りのようなもので、「非常にバズった」とのこと。「費用対効果も全然良かった。これはいけるということで仲間と起業しました」と続けた。

1日のスケジュールで大切なこととして、両者は「タスク管理」「癒やしの時間」などを挙げた。また、さわえ氏は1歳と4歳の子どもがいるという中で、「午後6時から9時は“子どもブロック”の時間で仕事をしない。寝かしつけてからバーチャルに入って、色々なイベントを覗く。そこでいろんな刺激を貰うことが大切。いいイベントに出会ったら悔しいと思ってアイデアを書き出したりする」と、自身のワークスタイルを明かした。

起業した際の悩みとしてダイアナ氏は「男性とサシ飲みに行けない」ことを挙げた。相手が遠慮しているようだという。さわえ氏は「男性の技術者の方がアバターを改善することが上手い」などを挙げた。

起業のアドバイスとして、ダイアナ氏は「いきなりリスクを取って起業するよりも、副業として起業した方がいい。私も週に3回は本業を持っていた時期もありました。Web3領域は今アツイので早めに来た方がいい」と述べる。さわえ氏は「Web2、Web3の違いはさておき、とにかく人のためになるもの、面白いものを作れるかが大切。私の会社では、面白くなりそうになかったら途中でぶっこわします。このNFTを持っていたら、楽しめて長く保有される設計ができているのかとか、人のためになるのかと一生懸命考えます」と熱く語った。

セッションの最後には、たぬきち氏も「Web3は今話題となる多様化にマッチしている。働き方が人によって違います。そういう意味でも女性の働き方に合っている」とコメント。一方で、「Web3業界のイベントでは女性が前に出て話すことはまだ少ないのが現状。女性が登壇する機会がないので、今回のイベントを開催したかった」と業界の今について言及し、あわせて本イベントに対する想いを述べた。

セッションの様子
左からたぬきち氏、ダイアナ氏、さわえ氏

まとめ

Web3領域はまだ始まったばかりに過ぎない。関わっている男女の比率は男性の方が圧倒的に多く、女性は一部に限られるというのが現状だ。しかし、Web3領域の従来の仕事と異なり、本人の自由度が圧倒的に高い。状況にもよるが、就業時間も比較的調整しやすいだろう。こうした要素を踏まえれば、業界全体の環境がさらに改善されることでより女性のWeb3領域への進出も活発化していくものと考えられる。

本イベントの参加者は女性比率が非常に高く、終始登壇者の話を聞き込んでいる姿が印象的であった。このようなイベントをきっかけとして、新たな道を切り開いていく女性が誕生していくことを願うばかりだ。

イベントの様子

画像:月刊暗号資産