2022.04.25
注目度増すWeb3.0-今週の暗号資産を読み解く。
先週の暗号資産(仮想通貨)市場の動きは、週初にビットコイン(BTC)で500万円を割れるなど小安く始まりましたが週半ばには540万円台まで進み堅調な展開を見せました。しかし21日にIMF(国際通貨基金)におけるFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の発言から債券市場では米国債利回りが上昇し、米国株式市場では株価が大きく値下がりする軟調な展開に変わり、ビットコインは500万円台での動きとなりました。
FRBパウエル議長は、「米国のインフレ率がFRB目標である2%の3倍を超えており、もう少し迅速に動くことが適切だ」とし「50bpの利上げは5月の会合で検討されるだろう」と述べ、5月の利上げについて肯定的な発言を行いました。
岸田総理にWeb3.0を自民党が説明
自民党の平井・前デジタル大臣や平将明ネットメディア局長らは21日、首相官邸を訪問し、岸田総理にWeb3.0(分散型ウェブ)の戦略について説明を行いました。
米国や英国のWeb3.0に関する取り組みや、平議員が座長を務める「NFT(非代替性トークン)政策検討プロジェクトチーム」が作成したホワイトペーパーについて説明をした模様です。
米国の動き
米国では先月9日にバイデン大統領が暗号資産に関する大統領令に正式に署名をしています。
大統領令のタイトルは「デジタル資産の責任ある発展の実現」という文言が入っており、大統領令で求める対策は次の通りです。
今回の大統領令を出した背景として、暗号資産全体の時価総額が昨年11月に3兆ドルを超え、米国内の成人の16%(約4,000万人)が暗号資産を取引や決済に利用していることなどを挙げ、さらに世界100以上の国と地域でCBDCの実験が行われていると説明している。
バイデン大統領はこうした状況を踏まえ、「世界の金融システムにおける米国のリーダーシップを強化していくべき」と述べています。
英国の動き
英国は4日スナック財務相が「英国を暗号資産テクノロジーのハブに」と題するプレスリリースで「暗号資産ステーブルコインの規制およびNFT発行計画」を発表しました。
またグレン大蔵相は「英国政府は英国における暗号資産市場のさらなる発展を促すため税制の競争力を強化する方法を検討する。また分散型金融ローンの税務上の取扱の見直しや投資顧問免責の範囲を暗号資産に拡大することも検討協議する」などと説明しました。
自民党のデジタル社会推進本部としては、こうした米国や英国の動きから日本も遅れをとることなく暗号資産への取り組みを積極化するべきと考え、岸田首相へのアプローチを行ったと考えられます。
さらに注目度が増すWeb3.0銘柄
先述の通り、日本でも首相へ説明が行われるなど、Web3.0への関心が非常に高まっています。こうした状況を踏まえれば、今後さらにWeb3.0の導入や検討が進められ、さらには関連した暗号資産の価格にも好影響が出る可能性が考えられます。
暗号資産は他の金融資産と比較してもボラティリティが高く、収支が安定しにくい側面がありますが、先行投資という点で考えれば、少額でも将来的に大きな利益を生む可能性を秘めているものです。
日本発のWeb3.0プロジェクトも見受けられるようになってきた中で、今こそこの成長分野に対し先んじて投資を行うというのはいい投資戦略になり得るかもしれません。
Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。