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まだ見限れないNFT関連銘柄-今週の暗号資産を読み解く。

先週(4/11-4/17)のマーケットは、欧米で週末にイースター休暇を控えていることもあり、全体として盛り上がりを欠く展開となりました。米国では鉱工業生産指数が+0.9%、NY連銀製造業景況指数も24.6と急回復(前月-11.8)し景気の順調さを示しましたが、金利上昇と受け止められ、米国株式市場は週末に向けて調整食を強めました。

暗号資産(仮想通貨)市場では、こうした環境を受けて週を通して各銘柄もみ合う展開となり、ビットコイン(BTC)は511万円台、イーサリアム(ETH)は38万円台で終了しています。

今週は、中国で1-3月期GDP、米国で住宅着工件数と中古住宅販売件数の発表などがあり、世界の景気動向への影響を考え、注目される週となるのではないでしょうか。

様々な取り組みが続くNFT

昨年の大ブームを受け、世界各国で非代替性トークン(NFT)を用いた取り組みが見受けられます。

その一例として、4月4日には、英国財務相が暗号資産分野の成長に向けた取り組みの大枠を発表しました。

「英国を暗号資産技術のグローバルハブにしたい。企業の投資や技術革新、事業拡大を支援する施策だ」と述べています。その中で特に熱心に取り組むとみられるのは、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術です。そして今夏をメドに王立造幣局へNFTを作るよう依頼をしています。発表された取り組みについては賛否両論あるようですが、英国財務省が注目した非代替性トークン(NFT)とは、どのようなものなのでしょうか?

すでにご存知の方も多いかもしれませんが、基本的な点を少し整理してみたいと思います。

NFTとは

NFTとは、「Non-Fungible Token」の略称です。代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのことで、偽造の出来ない鑑定書や所有者の証明書などが付いています。ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産と同じように発行され取引されます。

デジタルデータについては、コピーや改ざんが簡単にできるため、価値があるとは考えられませんでした。しかし、ブロックチェーン技術を活用することにより、コピーや改ざんがしにくくなり、デジタルデータに唯一無二の価値を付加することができるようになりました。非代替性とは「代替不可能」「唯一無二」ということです。

NFTが注目されるポイント

ポイントとしては以下が挙げられます。

  • デジタルアートなどのデジタル資産の希少性を確保できる。
  • デジタルアートなどの所有者を明確にできる。
  • 資産価値のあるデジタルデータやアートを売買できる市場が形成されている。

また、これらのポイントを活用することにより、これらのことが可能となります。

  • ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」の交換
  • デジタルアート作品の所有権証明
  • 2次流通市場での権利者への還元手段

このような展開があり、NFTは近年注目度を高めていると言えます。

ちなみに高額な価格がついたアートとしては、以下のような事例が挙げられます。

  • 米国のデジタルアーティスト Beeple氏が制作した「Everydays:The First 5000days」に6,935万ドル(当時約75億円)
  • Twitter 創業者 ジャック・ドーシー氏の「初ツイート」に291万5,835ドル(当時約3億円)

NFTの市場規模

Non Fungible.comが3月10日に2021年の年間報告書を発表しました。この報告書で市場に関する次の3点が発表されています。

  • 年間1回以上取引したアクティブウォレット数
  • NFTの平均価格
  • NFTの市場規模

このようにNFTは2021年に市場への参加者が急増するとともに平均価格は大きく上昇し、取引高が急拡大しています。またこの市場規模については投資銀行のジェフリーズが、2022年は350億ドル(約4兆4,300億円)、2025年には800億ドル(約10兆1,270億円)になると予測しています。

NFTとその関連銘柄の将来性

前述のようにNFTの将来については、市場規模に関して明るい見通しが出されています。すでに海外ではスターバックスやアディダス、プーマといった多くの大企業が参入しているほか、国内でもUUUM、メルカリ、エイベックス、GMO、楽天、ヤフー、スクエニHDなどが参入しており、これからさらに増加すると思われます。

またNFTゲームやメタバースのアイテムやコンテンツの充実や人気化が後押しをすると考えられますので、近い将来にはとても身近なものとなっているのではないでしょうか。

このような状況を踏まえて、まだまだNFT関連銘柄にも注目をすべきだと私は考えます。中長期的に見れば、特定の銘柄の価値も上昇する余地があるのではないでしょうか。

英国財務省によるNFT発行の話に戻ると、王立造幣局は記念金貨などを発行していますので、スナク財務相はこの技術と経験をいかした唯一無二のNFTを期待しているのだと考えられます。どのようなものが制作されるか、私個人としても非常に楽しみです。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。