月間暗号資産

2022年の暗号資産-今週の暗号資産を読み解く。

皆さまはじめまして。J-CAM金融アドバイザーの倉本佳光です。

私は大学を卒業してから、内外の証券会社と資産運用会社に合わせて約40年間勤務してきました。これまでに私が経験した株式・金利・為替などのマーケットを参考にしながら、経済および暗号資産(仮想通貨)についてお話をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

2022年の暗号資産の見通し

さて、私は年初のあるセミナーで2022年の見通しをお話ししました。その時の内容としては、

  1. 日米の株式市場はコロナ禍の落ち着きとともに企業業績の成長に合わせて年末に向けて堅調に推移すると予想されている。
  2. 一方、欧米の物価上昇が強く、インフレが発生してきており、この物価上昇次第では金利も大きく上昇し、企業業績への影響から株式市場も注意が必要。
  3. こうしたインフレ時に強い資産として金、暗号資産に注目を。
  4. 今年のマーケットは乱高下に注意。

このような内容のお話をしています。 

私の個人的な年間のイメージとしては、春先にインフレの影響から金利が引き上げられ、株式を中心に調整が起こるが、秋口以降から年末に向けて堅調な展開を想定というものでした。

しかし、2月にロシアによるウクライナ侵略が起こり、環境は一変しました。

米国を中心としたG7の国々はロシアに対して経済制裁を始めており、さらに制裁の内容を強化しています。こうした動きを映し各国の企業はロシアからの撤退や事業停止を始めており、その影響は今後の企業業績に表れてくることになります。

物価上昇は引き続き強く推移しています。米国2月のCPI(物価上昇率)は前年同月比+7.9%とかなり強いものでした。英国でも2月は+6.2%となっています。

ロシアとウクライナの戦争は長期化の様相を呈してきています。両国は世界の穀倉地帯として世界へ多くの食糧を輸出し供給しています。今後、小麦、大豆、とうもろこしなどの食糧の不足から価格が大きく上昇すると考えられます。また天然ガス、石油などのエネルギー価格も影響が出始めており、欧州の天然ガス価格は5倍に急騰しました。ロシアの負けが明確にならなければ、経済制裁は続くことになり、食糧不足・エネルギー不足は継続し、インフレがさらに加速すると考えられます。

また米国では、コロナ禍による影響として、

1)3回にわたり支給された支援の給付金8,500億ドル(約106兆1,500億円)による消費の拡大
2)在宅勤務拡大による都市中心部から郊外への転居に伴う住宅価格の高騰

これらがさらに物価上昇を押し上げていると思われます。特に住宅価格は、年率20%近い上昇となっており、リーマン・ショック前の水準を上回っています。

物価上昇は一部の地域だけではなく欧米をはじめとして世界各国で見られるようになっており、アジアの国々でも金利上昇を引き起こしています。

一方、中国では経済の減速が懸念されています。まず、「ゼロ・コロナ政策」によりロックダウンなど外出禁止が行われ、都市機能が低下しています。代表例として上海があげられます。上海市は人口2,500万人を有する大都市で、金融の中心であり、また港を通じて多くの貨物が往来をしている都市です。こうした大都市で動線が寸断され、企業活動が停止しています。

2つ目として「不動産バブルの崩壊」が上げられます。2020年8月に不動産融資規制いわゆる「3つのレッドライン」が実施され、不動産関連セクター企業の資金繰りが悪化し、事業運営に行き詰まる企業が増加しました。その結果、住宅価格は下落しています。中国GDPの3割を占める不動産業界の減速は、中国全体の経済成長の低下要因となります。

今年の全国人民代表大会で出された経済成長目標の5.5%は、5%あるいは4.5%へ下方修正となりそうです。世界の工場であり、世界の市場でもある中国が減速すれば、世界経済への影響は必至です。すでに米国S&P500の2022年1株利益予想は当初の8%程度増益から3%程度増益に下方修正されました。

これまでの点を踏まえると年初の想定から環境は大きく変化し、今後は世界景気の減速とインフレそして金利の上昇を強く意識しなくてはなりません。

ドルの代替資産として注目される暗号資産

本来、インフレは好景気とともに賃金、物価が上昇すると考えられますが、今回は景気が後退する中で食糧不足・エネルギー不足により物価が上昇する「悪いインフレ」つまり「スタグフレーション」となりそうです。スタグフレーションでの投資先は、やはり物です。インフレ時には株式が強いとの認識もありますが、今回は景気後退局面を迎える可能性があり、食糧やエネルギーなどの物に注目することになります。特にインフレヘッジ資産として「金」が注目されると考えられます。

また、長年続いてきた米国の長期金利低下が転換点を迎える可能性もあり、ドルの代替資産を求める動きが活発化しそうです。その際に改めて注目されると考えられるのがビットコインを中心とする暗号資産です。

暗号資産はコロナ禍の中で株式とともに上昇し市場を拡大してきましたが、現在は調整局面を迎えています。今後、米国の金利上昇を見ながら徐々に下値を固めるのではないでしょうか。個人的には今夏以降に新たな展開が強まる可能性があると考えており、年末に向けてビットコインなどが新高値へトライしていくのではないかと予想しています。

今回のインフレは、かなり強力な期間の長いものとなる可能性があります。その際には、ビットコインで10万ドル(約1,250万円)あるいは、もっと高い水準を示現しているかもしれません。

インフレを強く意識していただき、暗号資産に再度注目してください。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。

                                   
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