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「好き」でつながる経済圏−前田真実果の“暗号資産投資”はじめてみました! Vol.106

前回は破綻したFTXの続報と、経団連(日本経済団体連合会)が発表した日本のWeb3推進戦略について触れました。
特にこのWeb3推進戦略では「まずやってみる精神」の重要性が打ち出されていた点が特徴で、この分野に早く適合し、進めていかなければならないという姿勢が強く感じられます。国内企業の間でもWeb3に関連した取り組みが見られつつありますし、今後の動向に引き続き注目ですね。

さて、収支の方は先週もマイナスとなり、一連のFTX騒動の煽りを受ける結果となりました。相場的にはなんとか踏ん張っている感じもしますが、今週はどのような結果になったでしょうか。

BitLendingに預け入れているビットコインも合わせて今週は約2,500円のマイナス。これで3週連続でのマイナスとなり、暗号資産(仮想通貨)市場は厳しい状態が続いています。

コラムを書いている段階でビットコインは約233万円、イーサリアムは約16万3,000円となっています。ビットコインは先週と比べてあまり変化がありませんが、イーサリアムの価格が比較的大きく落ちたことが収支に影響していそうです。

FTXの破綻により従来の中央集権的な取引所に対する信用不安も相まって、現在DEX(分散型取引所)など、DeFiを活用する動きが強まっているそうです。しかし、今年10月に歴史的な数の暗号資産(仮想通貨)のハッキングが発生した際に標的になったのもDeFi。
多くの資金がDeFiに集まるということは、当然そこを狙ったハッキングが発生する可能性もありますし、そうしたリスクを踏まえて関連銘柄に売りが出ているようです。もちろんそれだけが理由ではないと思いますが、現状の暗号資産(仮想通貨)市場、そして業界全体の信頼度合いを考えると、リスク回避のために売却の動きが強まるのは仕方ないでしょう。

12月に入ると、今度はCPI(消費者物価指数)やFOMC(米連邦公開市場委員会)など大きなイベントがあります。株式市場の動きは暗号資産(仮想通貨)市場に影響するでしょうし、今後しばらくは落ち着かない時期が続きそうです。

LINEの世界向けNFTマーケットプレイス

FTX絡みで暗号資産(仮想通貨)市場は落ち込んでいますし、パッと明るいニュースもないこの頃なので、気になっていたトピックをお届けしていこうと思います。

LINE、グローバルNFTプラットフォーム「DOSI」でユーザー間取引とイーサリアム決済に対応

LINEのグループ企業「LINE NEXT」が運営するNFTマーケットプレイスで、ユーザー間の取引とイーサリアム決済ができるようになったよ、というニュースです。
LINEといえばもう、主なコミュニケーションツールと言ってもいいくらい日本で浸透していますが、こちらのサービス対象に日本は含まれていません。
LINEのグループ会社はたくさんありますが、こちらは韓国とアメリカに拠点を置いています。日本は日本で「LINE Xenesis」というLINEの暗号資産(仮想通貨)関連会社が日本向けのNFTマーケットプレイスを運営しています。棲み分けなんですかね。

LINE NEXTの方のサービスはグローバル展開されており、世界180ヵ国・9ヵ国語に対応しているのだとか。サービス名の「DOSI(ドシ)」は韓国語で都市を意味しており(漢字表記の単語は韓国語と日本語で共通するものが多いんですよね)、そのパートナー企業や新しく発表されたNFTプロジェクトを見ると、やはり韓国企業が多いようですね。ポータルサイトNAVER、百貨店のSHINSEGAE(新世界)などは日本でもよく知られているものではないかと思いますが、私のように韓国エンタメ好きの方がいれば、「CJ ENM」「YG PLUS」が目につくのではないでしょうか。
どちらもメディア関連の企業で、「CJ-」は音楽チャンネルMnetなどで知られ、日本の吉本興業との合同レーベル「LAPONE」には、同企業が参加して製作されたオーディション番組で結成された日本のグループも所属しています。「YG-」はBLACK PINKなどのアーティストを擁する大手芸能事務所のレコード会社。

発表されたNFTプロジェクトには、Webマンガや韓国大手芸能事務所のアイドルグループの名がありましたが、その中で以下のような試みを展開するという記載がありました。

「NFTホルダー投票を通じたアーティストサポートやコンテンツの原作者とのコミュニケーションが可能なAMAセッションを行うなど、より多様なNFT体験を提供できるように取り組みを進めているという。さらに、DOSIのエコシステムへの貢献レベルに合わせてユーザーに特典を提供する会員制プログラム「DOSI Citizen(ドシ・シチズン)」の特典の内容も拡充したと発表した。(「LINE、グローバルNFTプラットフォーム「DOSI」でユーザー間取引とイーサリアム決済に対応」記事より引用)」

アイドルとファンとの会員制コミュニケーションツールといえば、「Weverse(ウィバース)」が真っ先に思いつきます。韓国からグローバル展開に成功したアイドルグループBTSの所属事務所HYBE(当時Big Hit)が始めたアイドルとファンをつなぐサービスで、現在は上で挙げたNAVERも出資し、数多くのアイドルが参加しています。このWeverseも最近NFTを始めたようで(最近はNFT展開しないほうが珍しいかもしれませんね)、競合というかたちになるのでしょうか。

NFTホルダーによる投票機能というのもほんの少し香ばしい。NFTホルダーが何かしらに参加できる権利を持つというのはよくあることですが、「アイドル/投票/CJ」このワードが揃ってしまうと、裁判にまで発展したオーディション番組での投票操作という黒歴史がよぎります。NFTとなるとやや高価になることが予想されますし、カネにものを言わせるような企画はやめていただきたいなぁ……なんて。これは完全なる野次馬根性・余計なお世話なんですが、何が言いたいかというと! 

あらゆるサービス、商品は、それを利用してくれるファンを作り、その人々が末長く利用してくれるよう努力しますよね。囲い込みが必要なわけです。それもできるだけ自然で無理のないかたちがいい。その手段として最も有効なのが通貨ではないかと思います。
DOSIでもDOSIウォレットが用意されていますし、日本のLINE NFTマーケットでもLINE独自の暗号資産(仮想通貨)LINKが使われます。暗号資産(仮想通貨)はちょっと……という人でも、LINE Payのかたちで日本円も使えます。
LINE Payはコンビニなどでも使えますし、利用されている方も多いのではないでしょうか。
少し脱線しますが、日本のメルカリを例に挙げると、そのマーケットでモノを売り、得た利益をメルペイというかたちで決済手段に使うことができる。

そんな風に通貨は生活にとけ込んでいきます。サービスやモノを提供し、それを取引するための手段(=通貨)を用意する。そのつながりにはアイドルだったり何かしらの作品が介在するのですから、より強力な「好き」のつながりができるのではないでしょうか。そうして一つの経済圏ができあがります。

こういった結びつきの単位がこれからはより重要になっていくと考えています。
メタバースも絡んでくると、本当に一つの街のように見えそうです。
もっともっと先のことかもしれませんが、日本とか韓国とかアメリカとか、そんな国単位ではなく、「好き」でつながる場所を選べるようになるかもしれない。
良いものかどうか分かりませんが、現在はそんな変容のはじまりにあるのではないでしょうか。

 

今回はNFTマーケットプレイスに関するニュースから、暗号資産(仮想通貨)というおカネのかたちが活躍するセカイに思いを巡らせてみました。やや脱線したような気がしますが……皆さんはどんな風に感じましたか?

市場は当面厳しい状況が続きそうですが、今は耐えるしかありません。どこかの国の大統領みたいに「毎日1BTC買います」なんて言えればいいんですけどね!
相場は低調ですが、暗号資産(仮想通貨)の存在価値が薄れるわけではありません。投資という意味では難しい現状ですが、暗号資産(仮想通貨)が活かされる環境に目を向けて、その行先を見守っていきたいと思います。

Profile ◉前田 真実果(まえだ まみか)
京都府出身。
レースクイーンやモデルとして活躍し、雑誌・ラジオ等に多数出演。
Adobeソフトの使用に長けており、Instagramなどで使えるGIF作成を日課としている。オリジナルキャラクターのGIFは2ヶ月で1,700万ビューを越える。

SNS
ブログ:Mamika Maeda Note
Twitter:@mamilium
Instagram:c1mamika

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前田真実果の“暗号資産投資はじめてみました!” Vol.105