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異常な底堅さを見せる暗号資産市場−今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(1/16-1/22)

先週は17日にニューヨーク連銀製造業景況指数が発表され、−32.9と12月の−11.2に続いて2ヵ月連続のマイナスを記録し、2020年5月以来の低水準となりました。また19日にはフィラデルフィア連銀製造業景況指数の発表があり−8.9と予想を上回りましたが、同日発表された12月住宅着工件数が年率換算138.2万戸で前月比−1.4%と4ヵ月連続のマイナスとなり、景気減速を印象づけ株式、暗号資産(仮想通貨)ともに上値を抑えられる状況でした。

翌20日には2022年の中古住宅販売件数が年503万戸で前年比−17.8%と発表され、通年の販売戸数として8年ぶりの低水準となりました。また12月単月の販売件数でも年率換算402万戸と過去10年で最低の水準となった事を受け、利上げ観測が後退し株価は反発しました。さらにアルファベットが全世界従業員の1.6%にあたる1.2万人の人員削減を行うと発表すると、コスト削減につなげるとして全体の株価を押し上げる展開となり、NYダウ平均が331ドル高、S&P500が74ポイント高、NASDAQが288ポイント高と大きく上昇しました。

暗号資産市場も20日は株式市場でのこうした動きに連動し、ビットコイン(BTC)が22700ドル台へ急伸する展開となり、総じて堅調な動きとなっています。

【今週のイベント】

先週発表された経済指標が景気減速を示唆する結果であったにも拘わらず、市場は利上げ観測が後退するという読みからリスクオンの流れとなりました。今週は来週に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)に向けて慎重な動きになると考えていますが、ビットコインに見られる異常とも言える底堅さは、暗号資産市場に投資家が戻ってきていることを示すものなのかもしれません。

ビットコインの動きに引き続き注目したいと思います。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。