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業界に激震が走った「FTX騒動」−前田真実果の“暗号資産投資”はじめてみました! Vol.104

前回はTwitterの買収について、また、世界的な大手暗号資産(仮想通貨)取引所であるバイナンスがTwitterのブロックチェーンや暗号資産(仮想通貨)活用を支援するチームを構成していることについて触れました。
Twitterに関しては電気自動車大手テスラのCEOであるイーロン・マスク氏が買収後、さっそく様々な施策を打ち出しています。従業員を大量に解雇したことも話題となりましたね。解雇を通知し、有無を言わさずすべてのアクセス権限を取り上げるなどの徹底ぶりは流石だなと感じました。
トレンド欄に特定のメディアが挙がってくることがなくなったなど、すでに変化を感じているユーザーもいるようですが、皆さんは何か以前との違いを感じることはありましたか? 私はここ最近Twitterをあまり見なくなってしまったので、とくに感じるところはありませんでしたが、今後の改革によって新しい機能が追加されたり、活用法が見出されることを楽しみにしています。
今後の動向に注目ですね。

さて、収支の方ですが、先週は4,000円のプラスとなりました。
すでにニュースなどを見てお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の収支を発表したいと思います。

今週はBitLendingに預け入れているビットコインも含め、約1万4,000円と大きなマイナスになりました。
このコラムを書いている時点でのビットコイン価格は245万円ほど、イーサリアムは18万円ほどとなっていて、共に先週と比べて大きく下落しています。
これだけの下落を招いた原因については、本日のメインのお話として後ほど触れたいと思います。

そして、今週はアメリカで中間選挙がったほか、いつも暗号資産(仮想通貨)市場や株式市場を苦しめるCPI(消費者物価指数)の発表がありました。

まずアメリカの中間選挙では、事前の予想に反し共和党の勢いがそこまでなく、むしろ民主党の躍進が目立つ形となりました。
歴史的に、アメリカの金融市場は議会がいわゆる「ねじれ」状態になると相場が上がるという不思議な法則があるようです。今回もそれに期待してか、中間選挙の前日には大きく株価を上げる場面もみられました。
しかし、共和党の勢いが乏しいとわかると、市場ではリスクを避ける動きが目立ち、逆に大きく株価も落ちています。

また、CPIについては市場予測よりも良い数字が出て、インフレ懸念が若干ですが後退しました。この発表により、NYダウは1200ドルも上昇したそうです。
CPIの結果を受けてインフレがピークアウトしたとの見方が強まったことから、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げ幅を縮小するのではないかと見る人が増えたそうです。
暗号資産(仮想通貨)市場にとって、今回はむしろCPIに助けられた形となりました。ビットコインは一時230万円すらも切ったほどでしたので……。

いずれにしても、CPIの結果が良好だったことは金融市場にとって追い風になりそうです。引き続き市場をはじめ経済動向を要チェックですね。

バイナンスが世界的な取引所FTXを買収→撤回!

今週もバイナンスの話題になってしまいますが、これは触れずにはいられません。
というのも、バイナンスが同業大手の暗号資産(仮想通貨)取引所FTXを買収すると発表しました……というのは執筆途中の話。
世界の暗号資産(仮想通貨)取引所で1、2を争う両者が合併するようなもので業界的にも激震が走りましたが、その後の撤回でさらに市場は混乱。

ここまでの流れを追っていきたいと思います。

バイナンス、FTXの買収を撤回「もはや我々の支援能力を超えている」と強調

今回の買収発表に至るまでには複雑な背景がありました。とはいっても、事の発端からわずか10日ほどでの決着ですので、驚きとともにあっけない幕切れになったと見る人も少なくないようです。

まず、今月2日にアメリカの暗号資産メディアCoindeskがあるニュースを流しました。それは、アラメダ・リサーチという投資会社の財政状況に関する内部リークされた情報を元にしたものでした。
内容としては、このアラメダという企業の財務状況を不安視するもの。その不安要素となったのが、FTXの独自暗号資産(仮想通貨)であるFTXトークン(FTT)の保有状況です。
今年6月30日の決算時に報告された保有資産の内訳を見ると、FTXトークンやFTXトークンを担保とした資産の割合が非常に高かったようです。これが意味するのは、もしFTXトークンの価値が暴落したら、アラメダはあっという間に財政難に陥るということ。そういった懸念が指摘されたのです。
ちなみに、保有資産の中には2,000億円相当に迫るソラナ(SOL)も記載されていたのだとか。

ではなぜ、このアラメダの財政不安に関する影響がFTXにまで波及したのかというと、FTXのCEOであるサム・バンクマン・フリードさんが設立し、FTXとの関係も深い会社とされているからです。また、FTXはアラメダを通じて多くの財政難に陥った暗号資産(仮想通貨)関連企業の救済措置を行っていました。そのアラメダがもし破産したら企業の救済措置が完了しない可能性もあるほか、その企業に関連したプロジェクトや暗号資産(仮想通貨)にも影響が出ます。

そして極めつけは、バイナンスのCEOであるCZさんの発表でした。
「バイナンスが保有するFTXトークンを全て売却する」と表明したのです。
当然、バイナンスが保有するFTXトークンの量は膨大なものでしょうし、そんなことをしたらFTXトークンの価格バランスも崩れてしまいます。何よりも、大きな影響力があるCZさんによる意思表明は、それだけFTXへの信頼度が揺らいでいるという証明にもなります。

この発表が出ると、当然FTXトークンの価格は大きく落ちるわけですが、それだけでは終わりません。FTXに暗号資産(仮想通貨)を預け入れているユーザーは不安感から出金を申請します。その人数や額が大きくなると、いくら大手取引所といっても対応に限りがありますよね。
その結果、FTXではわずか72時間で約8,700億円もの出金が行われたそうです。しかもこれは実際に出金が完了した金額だということで、申請も含めれば恐らく1兆円、もしくはそれ以上の額が出金されることになります。
あまりにも多く出金が申請された結果、FTXはこのコラムを書いている時点で出金を一時的に停止したそうです。日本法人のFTX Japanも同様の対応を行ったみたい。

買収発表はこうした事態に陥ったFTX側から支援を要請され合意に至ったものとなります。バイナンスが買収を撤回すれば、FTXは破産に追い込まれる可能性があるだけでなく、暗号資産(仮想通貨)市場ではさらに大量の売りが出て破滅的な被害が出るかもしれない。そのような考えが売りを加速させ、暗号資産(仮想通貨)市場全体の価格急落につながりました。
結果的に、FTXの状況があまりに悪くなり、バイナンスは「手に負えない」として買収を撤回しました。
元々拘束力のない合意だったとのことですが、買収報道から撤回までの展開の速さに驚くばかり。
この発表を受けて、暗号資産(仮想通貨)価格はさらに下落。ビットコインが一時230万円を割ったのは、まさにバイナンスが買収撤回を表明した後でした。

実は、バイナンスは2019年にFTXへ出資していたそうです。その後、FTXは急速に成長し、CEOのサムさんもロビー活動などを積極的に行い、頭角を表しました。そんなFTXに対し、もしかしたらCZさんも脅威を感じていたかもしれませんね。

一部ではCZさんとサムさんの関係は決して良いものではないとの憶測もあります。それに加えて今回の買収に関する話題が出てくるわけですから、何か裏を感じる人も少なくないようです。そもそも保有資産の内訳は本来非公開のものですし、誰がなぜこのタイミングでリークしたのかも分かりません。

このような流れがあった訳ですが、現時点ではFTXの資産凍結、FTX Japanでも行政処分などの情報が伝えられており、まだまだこの混乱は続く予感がします。

 

今回は以上です。世界に名の知れた大手取引所同士での買収報道、そこからの白紙撤回に至る流れをお話ししました。
これだけ大きな取引所に破綻の可能性が浮上するのは衝撃的ですし、ユーザーは投げ売りしていくしかないような状況ですよね。実際ビットコインでいうと300万円付近を推移していたところから230万円を下回るほどまで価格を落とし、FTXユーザーだけでなく暗号資産(仮想通貨)業界全体に影響しました。

アメリカの中間選挙やCPIの発表が暗号資産(仮想通貨)価格に影響することは想定していましたが、まさか業界大手取引所の動向がここまで市場にダメージを与えるとは想像していませんでした。それもインフレや地政学リスクの上昇など、何もかもが大変なこの時期に業界の縮図をも変えてしまうような一件が起きたことには不安も覚えます。

好調だった価格推移の流れが変わってしまい、難しい状況になりましたが、動向を見ながら運用についても判断していきたいと思います。

Profile ◉前田 真実果(まえだ まみか)
京都府出身。
レースクイーンやモデルとして活躍し、雑誌・ラジオ等に多数出演。
Adobeソフトの使用に長けており、Instagramなどで使えるGIF作成を日課としている。オリジナルキャラクターのGIFは2ヶ月で1,700万ビューを越える。

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ブログ:Mamika Maeda Note
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