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BTCの重要な価格帯は〇〇ドル-今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(5/23-5/29)

先週の暗号資産(仮想通貨)市場は全体的に調整色の強い展開となりました。

ビットコイン(BTC)は週を通じて29,000ドル(約368万円)の攻防となりました。何度か29,000ドル割れがありましたが現在は30,000ドル(約381万円)台へ戻っています。イーサリアム(ETH)は10%程度の下落となりました。

米国の株式市場が大きく反発を見せた週となりましたが、暗号資産の動きは株価と離れたものとなりました。これは株式市場の参加者が一部の投機筋などに限られているためと思われます。機関投資家はまだ慎重姿勢を崩さず様子見と考えられます。

今週(0530-0605)のスケジュールとして、31日に中国製造業PMIと米国消費者信頼感(5月)の発表があり、週半ばから後半に米国ISM景況指数(製造業、非製造業)、米国雇用統計および米国地区連銀報告などがあります。

株式市場はこうした発表を見ながら上下すると思われますが、暗号資産市場は先週同様に調整色のあるもみ合いになるのではないでしょうか。もみ合いの中で下値を固めていくと見ています。

米国では「インフレがピークを迎えつつあるのではないか」との観測が出始めています。こうした動きを受けて長期債利回りは低下し、ドル高も落ち着いた動きとなりました。一方、原油および金などの商品市況は堅調な展開となり始めています。

このような“物”に対する動きは徐々に広がりを見せると考えており、今週下値を固められれば暗号資産にも動きが出始めるのではないでしょうか。

参考:金融バブル終了で暗号資産はどう動くのか-今週の暗号資産を読み解く。

ビットコインの適正価格は38,000ドル

JPモルガンの投資ストラテジストグループが5月25日に顧客向けレポートで「ビットコインの適正価格は38,000ドル(約482万円)と改めて標榜し、次のようなコメントを出しています。

「2022年の広範囲なリスク資産売りを受けて暗号資産は割安な状態にあり、上昇余地が有る。インフレ環境で有望であり、不動産に代わるオルタナティブ資産として台頭していく。今後、我々(JPモルガン投資ストラテジストグループ)は、暗号資産市場が上昇すると見ている」

長いもみ合いになっているBTC

BTCの29,000ドル近辺の攻防、もみ合いは5月30日で22日目となります。

5/1-5/29のビットコインチャート(ドル)
引用元:CoinMarketCap

ドルベースチャートを見ると、移動平均線で25日線(赤線)が急速に下がって来ています。もう暫くすると上か下へ離れると思われます。75日線(青線)が38,000ドル近辺に位置していますので、個人的にはその辺りに向けた動きになるのではないかと期待しています。

今週は29,000ドルの攻防が注目されます。

ここでもし下値が固まれば、本格的な反発・上昇にはまだ早いものの、投資タイミングの様子を見ていた投資家も少しずつ動き始めるのではないでしょうか。

米株式市場などの動きも重要となってくるため、引き続き注視していく必要があります。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。