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リスク資産に映る調整色−今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(2/20-2/26)

先週の暗号資産(仮想通貨)市場は22日(水)のFOMC議事録と24日(金)のPCEデフレーター(1月)の発表を受けて徐々に軟調な展開となりました。

2月22日(水)に発表されたFOMC議事録では「今後のデータを受けてインフレ率が2%に向けた継続的な低下基調にあると確信するまで、景気抑制的なスタンスが維持される必要がある」と参加者は認識しており、「確信に至るまではまだ時間がかかる可能性が高い」との確認される内容でした。

また2月24日(金)に発表されたPCEデフレーター(1月)では、前年同月比+5.4%、前月比+0.6%と予想の+5.0%、+0.5%をそれぞれ上回りました。この結果によりFRBの行っている利上げの道のりはまだ長く、ソフトランディングの可能性は低くなったとの見方が広がりました。

24日の米国株式市場は、この結果を受けてNYダウ平均で336ドル安、S&P500で42ポイント安、Nasdaqで195ポイント安となりました。

暗号資産市場も株式市場と同じような展開となりました。週初2万5000ドルをうかがう動きもあったビットコイン(BTC)ですが、23日には2万4000ドルを割り2万3000ドル台での動きとなっています。円ベースでも週初の330万円台から週末には320万円を割り込み、310万円台で推移しています。

【今週のイベント】

先週発表されたFOMC議事録やPCEの結果などから、マーケットが期待をしていた米国経済のソフトランディングやノーランディングは遠くなり、米国株式市場などのリスク資産マーケットは調整色が強まったと考えられます。今週発表されるデータについてもFRBの抑制的なスタンスをフォローする可能性はあっても、否定するようなものとはなりにくいと思われます。

今後の暗号資産や株式市場などのリスク資産については、今まで以上に慎重なスタンスが必要と考えています。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。