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PCEデフレーターの結果が焦点に−今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(2/13-2/19)

先週の暗号資産(仮想通貨)市場は、ビットコイン(BTC)を中心に堅調な動きを見せました。

米国では、14日(火)に1月のCPI(消費者物価指数)、15日(水)に1月小売売上高などの発表がありました。CPIは前年同月比+6.4%と7ヵ月連続で鈍化しましたが、前月比では+0.5%と0.1%拡大し引き続きインフレ圧力が強い事を示し、小売売上高は前月比+3.0%と大幅な増加となり、年末にかけて弱まったとも見られた消費が依然として堅調である事を示しました。

このような結果は、マーケットが期待している早期の利上げ終了と年内利下げ開始を否定するもので、パウエルFRB議長がコメントで示した「今後複数回の利上げ」を正当化するものとなっています。また複数のFRB高官からも今後の利上げ継続についてのタカ派コメントが相次ぎました。

米国株式市場の動きは15日にかけては堅調な動きを見せていましたが、週末にかけてやや上値の重い動きとなりました。暗号資産はビットコインが週末にかけても2万5000ドルをうかがうような動きを続け、円ベースでも330万円台に乗せるなどしっかりした動きを見せました。

【今週のイベント】

今週は24日(金)にFRBが重視するデータであるPCEデフレーターの発表があり、現時点の予想では+0.5と2022年半ば以来の高い予想となっています。株式市場については先週に続き上値をおさえそうな様子になりそうです。

一方、先週の米国債券市場では、10年国債利回りが3.8%台、2年国債利回りが4.6%台へと上昇しています。株式や暗号資産などのリスク資産市場の動きとは異なり、今後のインフレの長期化と金利の上昇を見込んでいる様子となっています。

S&P500企業の2023年利益は2022年を下回るものとなりそうですので、こうした金利上昇がさらに追い打ちをかける可能性もあり、株式や暗号資産などのリスク資産については警戒が必要です。

今後のインフレと金利の動向ならびに企業収益について注視していきたいと思います。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。