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米CPI発表で好調な地合いになるか−今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(12/26-1/8)

年末年始の暗号資産(仮想通貨)市場は、若干甘い展開ながらも落ち着いた動きに終始しました。

年末に中国の製造業PMI(12月)が発表され47.0と、前月の48.0をさらに下回る低水準になりましたが、大方のエコノミストは年末に広がった新型コロナ感染の影響が出たものの、春節に向けて徐々に経済は回復をたどるとの見方を示しています。

1月4日に米国で発表されたFOMC議事要旨は確かにタカ派的なトーンではあったものの、想定された内容として落ち着いて受け止められました。その後に出された米国ISM製造業景気指数は48.4と2年7ヵ月ぶりの低水準となり、FRBが期待する動きとなったようです。また6日に発表された米国雇用統計では失業率が3.5%と50年ぶりの低水準となり、非農業部門就業者数が22.3万人増と予想を上回りましたが、平均時給が前月比+0.3%、前年同月比+4.6%と伸びが鈍化し、こちらもFRBが期待する動きとなりました。1月6日のNY株式市場は、雇用統計の発表を受けてNYダウ平均が700ドルの上昇を記録しています。

暗号資産市場の動きは、ビットコイン(BTC)がドルベースで1万6500~1万6700ドルでのもみ合いとなっていましたが、4日以降じり高となり8日には1万7000ドル台へ進んでいます。こうした動きを受けて全体的にも堅調な地合いとなりました。

【今週のイベント】

今週は米国で消費者物価指数の発表があり、先週好転した地合いをそのまま引き継いでいけるのか注目されるところになります。また今月は16日から世界経済フォーラム(ダボス会議)が開催されるほか、月末には注目されるFOMCの開催がありますので、経済指標などの発表を見ながら神経質な展開が続きそうです。

欧米を中心とした暗号資産の規制強化の波

一方、昨年9月に発表されたEUの暗号資産に対する包括的な規制法案「Market in Crypt Assets (MiCA)」は、2月に採択され施行が2024年以降になる見通しですが、フランス中央銀行のガロー総裁は、「これより先にフランス国内でのデジタル資産サービスプロバイダーに対して現在行っている登録を求めるのではなく、必須にするよう早急に切り替える必要がある」と5日にコメントしました。

今年はこうした暗号資産に対する規制強化について欧米を中心として議論が高まると思われますので、その内容や進展状況についても注意が必要です。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。