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リスクオフの流れが強まる可能性−今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(11/28-12/4)

先週の暗号資産(仮想通貨)市場は、米国の金融市場全体がそうであったように11月30日に行われるパウエルFRB議長の講演を控えて、週初慎重な動きとなりビットコイン(BTC)225万円台、イーサリアム(ETH)16万円台、XRP52円台と調整からの動きとなりました。

しかし、30日のパウエルFRB議長の講演内容がハト派的と受け止められ、マーケットが好感した形となり、30日にはビットコインが234万円台、イーサリアムが17万円台、XRPが56円台と堅調な動きを見せました。ただ上値も重く、翌日12月1日以降は慎重な動きとなっています。

米国株式市場も週を通じて似たような展開となりました。NYダウ平均は週初28日に497ドル安となりましたが、30日は737ドル高と大きな反発を見せたものの、1日以降は利益確定売りもあり、やや軟調な動きとなりました。

週末2日に米国雇用統計が発表され、失業率は3.7%と横ばいでしたが、非農業部門就業者数が予想の20.0万人を大きく上回る26.3万人となり、前月も26.1万人から28.3万人と上方へ修正され、非常に強い数字と受け止められています。

この結果に対して市場はあまり反応を見せていませんが、今後の利上げ水準の終着レベルに対して警戒を強めたと見られます。

【今週のイベント】

今週も米国を中心として注目される経済指標などの発表がありますが、来週13日には米国CPI、14日には米国FOMC(連邦公開市場委員会)と最も注目されるイベントが控えており、今週の各市場は動きづらく慎重な展開が続くと思われます。

大きく転換した円相場とリスクオフ

一方、パウエルFRB議長の講演以降、米国10年国債利回りが3.4%台まで進み、米国長期金利が大きく低下してきています。この動きを受けてドル円相場は円高方向へ大きくシフトし、現在134円台まで進みました。ドル円相場は、150円台を円安のピークとした可能性を強めています。今後も140円程度の円安場面は想定されますが、130円台での展開を中心とするのではないでしょうか。

こうした動きも考慮すると、暗号資産やハイテク株などを運用する投資家たちの動向もより慎重になり、リスクオフ色が強くなってくるのではないかと思います。2022年も残すところあと僅かというところで、年末にかけて手仕舞いする動きもあるでしょうから、市場への警戒心を忘れてはいけません。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。