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注目されるパウエル議長の講演−今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(11/21-11/27)

先週の暗号資産(仮想通貨)市場は感謝祭の休日を挟み、週を通じて低下した米国長期金利もあり底堅い動きに終始しました。ビットコイン(BTC)で229万円から230万円台、イーサリアム(ETH)で16万円台そしてXRPが50円台から56円台と独歩高となる展開でした。

米国株式市場も長期金利に支えられ、総じて堅調な展開でしたが、商品市場では原油価格が1バレル80ドル台から76ドル台へと大きく下落したのが注目されます。

FTXの破綻で混乱した暗号資産市場では、大手暗号資産取引所のバイナンスが業界復興に向けた「リカバリーイニシアティブ(IRI)」を開始しました。バイナンスは当初10億ドル(約1,387億円)の拠出を行いましたが、20億ドル(約2,778億円)へ増やすことも検討しているようです。また他の業者も数社参加を表明しています。こうした参加企業からも資金を集めFTXの破綻により打撃を受けた企業を支援するために活用するとのことです。

さらにバイナンスは25日、資産証明システムをリリースする計画を発表しました。FTXの破綻で信頼の揺らいだ取引所の信頼回復に向け、ユーザーの全資産をカバーできるだけの資産があることを検証可能な方法で証明しようとしています。

【今週のイベント】

今週も注目される経済指標の発表がありますが、11月30日にブルッキングス研究所の主催イベントで行われるFRBパウエル議長の講演と、週末2日の雇用統計が特に注目されます。今月は13日に米国のCPI、14日にFOMC(米国連邦公開市場委員会)の日程があり、それまでは動きづらいと思われる中、パウエル議長が今後の金融政策ならびに金融市場の方向性についてどのようなことを示唆するのか、市場から注目されることでしょう。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。