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FTXの動向と規制強化の予兆−今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(11/14-11/20)

先週の暗号資産(仮想通貨)市場はFTXに関しての動静をにらみながら小幅な中でのもみ合いに終始しました。ビットコイン(BTC)は233万円、イーサリアム(ETH)は17万円を中心とした動きとなっています。その中ではXRPがやや強めの展開を示し、週初48円台から53円台まで上昇する場面を見せ、52円台で終えています。

金融市場では、米国10月小売売上高が発表され前年同月比+8.3%、前月比+1.3%と堅調な結果を示しましたが、10月は各社年末セールの前倒しを行っており、11月-12月の動向を見極めたいと慎重な動きとなりました。また米国の住宅着工件数は142.5万戸と前年同月比8.8%減少、前月比でも4.2%減少となり、中古住宅販売件数も前年同月比28.4%減少、前月比5.9%減少となりました。やはり住宅ローン金利の大幅な上昇による影響が徐々に広がりを見せている結果と見られています。このような指標とともに、今週発表されるFOMC(連邦公開市場委員会)の議事録もあり、株式市場も比較的小幅なもみ合いに終始しました。

【今週のイベント】

今週は、今後のFRBの動向を左右するFOMC議事録の発表が注目されます。またFTX関連について更なる展開があるのか注視する週となりそうです。

規制強化の予兆

なお、FTXに関しては米国のジャネット・イエレン財務長官から「最近の大手暗号資産取引所の破綻と、暗号資産保有者および投資家にもたらされた不幸な影響は、暗号資産市場に対するより効果的な監視の必要性を示した」と暗号資産業界に対する規制の強化についてコメントが出されました。

さらに、イエレン財務長官は「金融安定性の観点から、暗号資産市場における事象からの波及は限られている」としながらも、議会を含む政府は「規制の隙間を埋めるために迅速に行動」する必要があると述べています。今後、各国で暗号資産を取り巻く規制強化に関する動きが見られるかと思いますが、その中でも米国の動向には一際注目が集まるものと言えるでしょう。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。