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FTX破綻後の暗号資産市況の展望−今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(11/7-11/13)

先週の暗号資産(仮想通貨)市場は、週初こそ落ち着いた動きを見せたものの、暗号資産交換業大手FTXの破綻騒動が発生し大混乱となりました。FTXは米国の連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請しました。暗号資産業界で過去最大の経営破綻となります。週末にはビットコイン(BTC)が245万円台、イーサリアム(ETH)が17万円台、XRPが47円台まで売られ、14日に入るとさらに売り圧力を受けています。

一方、先週の米CPI(消費者物価指数)の発表は前年同月比+7.7%と4ヵ月連続での低下を見せ、予想を下回る結果となりました。これを受けて金融市場は大きく動き、米国株式市場ではNYダウ平均が約1,200ドル、S&P500が約207ポイント、NASDAQが約760ポイントと大きく上昇し、米国10年国債利回りは3.8%台へ低下しました。

このように、金融市場はCPIの低下により過度に悲観的なムードからFRB(連邦準備制度理事会)の金融引締め態度に変化が出るのではないか? との期待感を再度膨らませる状況になっています。

【今週のイベント】

米国金融市場では、先週のリスクオン的な期待感が膨らむ中、発表される結果をにらみながらFRBの態度を推し量る展開が続くと思われます。こうした動きが暗号資産市場へ好影響を与えるのか注目されるところとなります。

しかし、今回のFTXの破綻が今後どのような波及を見せていくのか懸念されます。実際、すでに国内外で出金等の停止を発表している事業体もあります。FTXに関する新たな事実が明らかになるだけでなく、他の暗号資産取引所などでも取り付け騒ぎのような状況が生まれた場合には市場にも大打撃となるため、今後の展開については要注意と言えるでしょう。

また米国を中心として暗号資産に対する規制はより強まると考えられ、しばらくは暗号資産市場に対する逆風が続くと思われます。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。