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暗号資産独自の動きに注目−今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(9/19-9/25)

先週の暗号資産(仮想通貨)市場は、20-21日に行われたFOMC(米国連邦公開市場委員会)後の利上げに注目する形で週初静かに始まり、ビットコイン(BTC)が275万円程度、イーサリアム(ETH)が19.4万円程度の動きでした。21日のFOMC後に発表されたFF金利の0.75%引き上げとパウエルFRB議長のコメントを受け、一時ビットコインが267万円、イーサリアムが18万円程度まで売られる局面がありました。しかし、その後は落ち着きを取り戻し、若干戻して現在ではビットコインが270万円、ETH18.4万円ほどで推移しています。

そのような市場の中で裁判の見通しに明るさが見えてきたXRPが週初の51円程度から週末には71円程度へ上昇し強い動きを見せたのが注目されます。

リスク資産が大きく下落

金融市場としては0.75%の利上げを受けて、株式市場はNYダウが29,590、S&P500が3,693、Nasdaqが10,867と大幅に下落し、債券市場は米国10年債3.71%、2年債4.12%まで利回りが上昇。商品市場ではCRB指数が268.47、WTI(原油)が78.74と大きく下落しました。

今週のイベント

今週は、米国で価格上昇が続いていた住宅価格、CB消費者信頼感指数、そしてFRBが注目するPCEデフレーターが発表されます。PCEデフレーターは米商務省経済分析局が毎月下旬に発表する物価指数で、季節性の高い食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレーターの数値をFRBが重視しています。

また米国以外でも欧州(ドイツとユーロ圏)のCPI、中国の製造業PMIなど注目される発表が相次ぎます。

 前月比前年比
4月0.3%4.9%
5月0.3%4.7%
6月0.6%4.8%
7月0.1%4.6%
【米PCEコアデフレーター】

金融市場全体は、こうした発表を見ながら今後の米国金利水準とその影響となる企業業績の悪化などを織り込む展開と思われますが、またここに来て英国の大幅減税を中心とした経済対策やイタリアでの新政権による新たな政策がどうなるのかなどが不安材料として現れています。

今週の暗号資産市場

暗号資産市場はこのような不安定な環境の中、慎重な動きが続くと思われます。以前にもコメントしたように、暗号資産には「業績の悪化」といった悪材料がないため、XRPのように株式市場が下落する局面でも良い材料に反応して独自の動きをする点がポイントとなります。

今後、ビットコインなどの中核銘柄が金融市場から離れた展開となるのか注目をしていきたいと思います。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。