月間暗号資産

  • HOME
  • COLUMN
  • 倉本佳光
  • 経済イベントと米大統領の動向に注目-今週の暗号資産を読み解く。

経済イベントと米大統領の動向に注目-今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(7/4-7/10)

先週の暗号資産(仮想通貨)市場は、前週の動きを引き継ぎビットコイン(BTC)が265万円台から始まりましたが、週末7月9日発表の雇用統計における非農業部門就業者数の予想が前月比26.4万人と大きく低下するものとなったことで楽観的なムードが広がり、8日には295万円前後まで買い進まれました。

しかし、9日に発表された雇用統計の結果は、非農業部門就業者数で前月比37.2万人増加となり予想値を大きく上回るものとなりました。失業率は3.5%で雇用状態は依然として逼迫した状態が継続しています。また平均時給も前月比+0.3%、前年同月比+5.1%と高い水準をキープしています。

この結果を受け、株式市場、暗号資産市場ともにムードが冷やされ、ビットコインは285万円前後へ低下し週末を迎えています。米国10年債も週初の2.81%から3週末3.08%と上昇して終えています。

今週の注目イベント

今週も米国のCPIや小売売上高および中国の貿易収支やGDPなど注目される多くの指標が発表となります。

特に米国CPIは5月の+8.6%からどのように変化するのか大変注目されます。すでに7月26-27日の米国公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げが確実視されている中、その後のFRBのスタンスへ大きく影響するだけにポイントとなります。

またバイデン大統領の中東訪問は「サウジアラビアが原油の増産に向かう事になるのか」今後の世界的なインフレに影響するだけに注目されます。

 今週の暗号資産市場は、こうしたイベントを見ながらの一喜一憂となりそうです。

バイナンス最高経営責任者CZ氏の考え

大手暗号資産取引所バイナンスの最高経営責任者であるCZ氏は、「弱気相場は歴史的に見ると2年から2年半続き、その後強気相場が2年続くサイクルにあるが、今回は世界的なインフレや戦争というマクロ経済に影響の大きなものがあり、先行きが見通せない」と述べています。

一方で、「ビットコインの半減期や米国大統領選挙が4年周期にある事を考えると株式市場や暗号資産市場の動きも歴史的に4年周期にあると見られる。そのため『次の周期は4年後』になるとも考えられる」とコメントしました。

長期的に考えるこうした見方もある中、米国株式市場では米国のリセッション(景気後退)入りから秋以降のFRBのスタンスが緩和へ変化するのではないかとの期待もあり、短期的には株式市場とともに暗号資産市場も上値をトライしていく場面も出てくるかもしれません。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。