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市況を左右するイベント相次ぐ-今週の暗号資産を読み解く。

暗号資産市場の動向(6/20-6/26)

先週の暗号資産(仮想通貨)市場の動向は、ビットコイン(BTC)が2万ドル(約269万円)を意識したもみ合いに終始した様子で市場全体も比較的小動きとなりました。

金融市場としては、24日に発表されたミシガン大消費者信頼感指数が50.0となり、速報値の50.2から下方修正され、インフレと景気後退への懸念から予想値の50.2も下回りました。また、5-10年先のインフレ期待値が3.1%と速報値の3.3%から下方修正されました。このデータ発表を受けてマーケットでは、インフレ期待が急速に低下し、年内の利上げ幅が縮小するとともに来年の利下げに対する期待が膨らみ、リスクオンのムードが強まりました。

その結果、米国株式市場ではNYダウ平均で24日194ドル高、25日823ドル高となり31500ドルまで上昇しています。NYダウ平均は1月4日に36799.65ドルの高値をつけ、その後6月17日の29888.78ドルまで6910.87ドル下落していました。(下落率で18.8%)

こうした株式市場の大きな反発にもかかわらず、暗号資産はおとなしい動きに終始したわけですが、これはリスクオンのムードが強まったように見えるとはいえ、まだ本格的な反発ではないと示しているのではないでしょうか。

今週の注目イベント

今週注視すべきイベントとしては下記が挙げられます。

このように世界の景気を占う重要なデータが発表となります。内容によって一喜一憂の展開になるのではないでしょうか。また状況によっては、先週のリスクオンが一転してリスクオフになることもあるかもしれませんので、十分に注意が必要と考えます。

以前にも触れていますが、約40年続いた金融緩和の時代が終わりを告げ、金融引き締めの時代に入ってきています。この大きな流れの中で金融市場は大きな変化を続けています。今回の反発のように折に触れ上昇する場面もあると思われますが、まだ底値に届いたとは考えにくく、暗号資産についても引き続き慎重な対応が求められると考えています。

ビットコインとNYダウの比較チャート(3ヵ月)
引用元:TradingView

グレ-スケールのETF申請

グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)が申請したETF(上場投資信託)の転換について、米国証券取引委員会(SEC)の判断期限が7月6日に迫ってきています。

米国証券取引委員会は、これまでビットコインETFの現物取引市場での監視体制と市場操作対策が投資家保護基準に達していないと指摘しており、今まで全てのビットコインETFの申請を非承認としてきました。よって今回もGBTCのETF化を承認する可能性は低いと見られています。

しかしグレースケールは、米国証券取引委員会がこの申請を却下した場合に備え、提訴する準備を進めています。グレースケール・ビットコイン・トラストの申請でETFに転換できれば、ビットコイン先物ではなく、「現物」のビットコインに直接裏付けられた米国初のビットコインETFとなるだけに、承認されればビットコイン価格上昇に向けた大きなきっかけになるとも考えられ、今後の動きが注目されます。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。