2022.06.20
2万ドルを割ったビットコインの今後-今週の暗号資産を読み解く。
暗号資産市場の動向(6/13-6/19)
先週の暗号資産(仮想通貨)市場は週初こそ堅調な動きとなり、ビットコイン(BTC)は300万円台をつけていましたが、15日の米FRB(連邦準備制度理事会)による0.75%の利上げを起点として起こった株式市場の大幅な下落の影響を受けて、全般として整理基調を強める展開となりました。
18日には長らく抵抗をしていたビットコインのドルベースにおける節目・2万ドル(約269万円)を割り込み、一段と整理基調を強めています。現時点では270万円台の動きとなっています。
現在の暗号資産市場の状況
暗号資産市場は近年米国を中心とした機関投資家の積極的な動きもあり堅調な展開となっていましたが、今年に入ってからの米国のインフレおよびウクライナ情勢などの影響から機関投資家は株式市場を中心として動きが鈍くなっており、株式市場、暗号資産市場ともに大きな買い手不在の状況となっています。米国の株式市場は高値から20%を超える下落を記録し下落相場入りとなっています。
米国のインフレの行方はまだ先が見えず、今後毎月発表される消費者物価指数を見ながらFRBが難しい舵取りをする状況が続き、株式市場はそうした中で一喜一憂するものと考えられます。
一部の観測筋によると、日米の株式市場では「株式の下落は一巡しつつあり、今後年末に向けて上昇局面を迎える可能性がある」とコメントしていますが、「来年には米国の企業業績が落ち込む予想があり、来年の米国株式市場は調整局面を再度迎える」としています。こうした動きが出るのであれば暗号資産も似たような動きになるのかもしれません。
しかし、このような見通しは短期筋には良いのかもしれませんが、一般の投資家や機関投資家には悩ましいのではないでしょうか。
基本的には世界的な展開となっているインフレは、欧米を中心とする脱炭素化の流れとともにエネルギー価格が堅調に推移を続けると考えられ、長期化するのではないかと思われます。インフレが継続し商品市況が上昇する展開の中で、今後暗号資産がこうした動きに追随できるのかがポイントと考えています。
今週の展望
今週の暗号資産市場の展開としては、米国の中古住宅販売件数や新築住宅販売件数および欧州のユーロ圏製造業PMI(6月)の発表があり、こうした発表の内容を見ながらの小動きとなるのではないでしょうか。
先週ビットコインなどの下値に注目としていましたが、今週もこの点に変わりはなく、ビットコインが2万ドルを回復し下値を固めるのか注目しています。
引き続き不安定な相場が続くものと考えられますので、株式市場の動向等を注視しながら取引をしていく必要があるでしょう。
Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。