2022.08.13

イーサリアムが分裂危機？- 前田真実果の“暗号資産投資”はじめてみました！　Vol.91

前回は国内に暗号資産（仮想通貨）ATMが再び登場したという話題と、DAZN（ダゾーン）のNFTマーケットプレイスについて取り上げました。
暗号資産（仮想通貨）ATMによって今後さらに国内でも暗号資産（仮想通貨）の利用シーンが増えていくかもしれませんし、より身近に感じさせてくれるかもしれません。これから設置台数が増えていくと、暗号資産（仮想通貨）環境について日本のランクが上がるかもしれませんね。

さて、収支の話題に移りたいと思います。
先週は約2,000円のプラスとなり、ここ最近は堅調に収支を伸ばしている……といった感じ。今週はアメリカで消費者物価指数（CPI）が発表されるというだけに、また激しい値動きが予想されますが、どうなったでしょうか？

今週はBitLendingに預け入れているビットコインも含め約1万円のプラスとなりました。大幅な含み益となりましたね。

このコラムを書いている時点でのビットコインは約320万円、そしてイーサリアムは約25万円ほど。どちらも先週と比べてしっかり価格を伸ばしています。

暗号資産（仮想通貨）価格が上昇した理由は、アメリカのCPIの結果が良好だったことにあります。
CPIはインフレ状況を見定める上で非常に重要なものとなるのですが、ここ最近はずっと上昇し続けていました。しかし、今回発表された数値は市場予測を下回るもので、一時的にではありますがインフレ状況が高止まりしたとも言えます。
これにより、FRB（連邦準備制度理事会）がさらに利上げを行う可能性も後退したことから、暗号資産（仮想通貨）をはじめ、金融市場では買い戻しの動きが強まったそうです。

暗号資産（仮想通貨）市場単体での価格に直結しそうな要因としては、イーサリアムの大型アップデートに関する情報が挙げられます。現在アップデートに向け着々と準備が進められているようで、その期待からイーサリアムの価格が上昇し続けています。
今回はそのイーサリアムに関する話題に触れたいと思います。

イーサリアムが分裂する？

現在、大型アップデートである「マージ」を前に注目が集まっているイーサリアム。期待感が日に日に上がってきていて、最近の暗号資産（仮想通貨）市場を引っ張る存在にまでなっています。
大型アップデートは9月に設定されているようですが、最近ちょっと心配になるニュースが出てきました。それは、イーサリアムが「分裂」するかもしれないというものです。
みんなが期待しているアップデートを前になぜそんな話が出てきたのか、イーサリアムに支障はないのかなど、ちょっと不安に感じる話ですよね。

そもそも、分裂に関する話は前々から少しだけあったようです。というのも、現行のイーサリアムはビットコインに代表される「プルーフオブ・ワーク（PoW）」という仕組みの上で成り立っています。このPoWというのは、マイニングがあることで成立するものです。マイナーがマイニングに参加することでネットワークが強固なものになり、そしてその対価としてマイナーは報酬を得る。この流れがあることでブロックチェーン、そしてマイナーの双方がWIN-WINな関係を構築しやすくなっています。

一方で、イーサリアムのマージが実施されるとこの仕組みが変わります。厳密には「プルーフオブ・ステーク」というものになり、マイニングが必要ではなくなるのです。ではどのようにネットワークを維持するかというと、ざっくり言えば、イーサリアムを多くのユーザーが保持し、取引の承認をより民主的に行うことで成り立っていくというもの。
従来のマイニングと違う点は、イーサリアムという暗号資産（仮想通貨）を保有するというところです。マイナーはマイニングマシンという機械を準備し、多くの電気を用いてマイニングを行い報酬を得ていました。その際、非常に多くの電力を消費することが、近年問題として声が高まっています。

そしてPoSではイーサリアムをより多く持つことで、マイナーに相当する「バリデーター」という役目を引き受けやすくなります。さらに噛み砕いて言えば、多くの株を持っている株主に、第三者による取引の承認権と承認したことによる報酬を得る権利が回ってくるということですね。
この利点は価格の高いマイニングマシンを買うことなくマイニングと同等のものに参加でき、さらには環境に優しいというところ。そしてデメリットとなってしまう点は、多くの枚数を抱えることで取引の承認者になりやすくなってしまい、その暗号資産（仮想通貨）の価格が高騰すればするほど新規参入が難しくなってしまうというところです。

前置きが長くなってしまいましたが、それでは一体誰がイーサリアムを分裂させたがるのか。もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、イーサリアムのアップデートで損を被ってしまう人、つまり「マイナー」です。すでにイーサリアムのマイニングを行っている人たちはPoSに変わってしまうことで行き場をなくしてしまいます。

そして、今回PoW版のイーサリアムを継続させようと動いているのが中国の著名個人マイナーであるチャンドラー・グオさん。そのグオさんをサポートするといち早く発表したのが暗号資産（仮想通貨）トロンの創設者であるジャスティン・サンさんです。

すでにPoW版のイーサリアム「ETHW」と、PoS版のイーサリアム「ETHS」が発行されることを見込んで、通貨を後日受け取る「予約券」のようなものを取引できる取引所なんかも出てきているのだとか。
それでも、まだ実際にPoW版のイーサリアムが誕生する道は険しいようで、さらに多くの賛成者がいないとハードフォークというアップデートが行えないみたい。

イーサリアムの進化とも言える大型アップデートまで残り1ヵ月ほどですが、分裂を巡る動きは今後さらに激しさを増していきそうですね。

インスタグラムのデジタルコレクティブル機能

Instagramの運営元であるFacebook社の社名が「Meta」に変わり、メタバース分野に注力することを示したのは昨年のこと。
Twitterでは所有NFTをアイコンに設定したり、ビットコインを送ることができる機能があります（NFTアイコンは一部機能および国でのみ実装）。ちなみに私もビットコインを受け取れるようにアドレスを設定したのですが、まだ送られてきたことはありません（笑）……それはさておき、InstagramはNFTを投稿できるデジタルコレクティブル機能を日本を含む100カ国に拡大すると発表しました。

クリエイターの方々の中でNFTに対する期待や関心はますます高まっているように感じますし、作品発表の場の一つとしてInstagramを活用している方にとって、今回のニュースはとくに注目すべきものだったのではないでしょうか。

SNSの中でもInstagramはNFTと相性が良いと感じます。それはNFT投稿機能そのものというより、ストーリー機能で使えるGIFやARフィルターの機能と合わせることで、相乗効果を生むことができるのではという期待からです。
このGIFやARフィルターは自作したものを登録することで他のすべてのユーザーが使うことができます。自身の例で恐縮ですが、私はGIFを定期的にアップしていて、1日30万から多い時で100万回ほど見ていただいています。画像ポスト、動画、リール、ストーリー、Instagramにはいくつかの投稿方法がありますが、その中でも最もたくさんの人の目に触れる可能性があるものと思います。ライフスタイル、食、スポーツ、美容、ファッション……様々なアカウントジャンルがありますが、GIFは主に感情を表現するものですから、その区分に左右されません。それにGIFのview数とフォロワー数に相関はありません。

Instagramを使って何かを広めようとする時、何をおいてもまずフォロワーを増やすことが課題となります。しかし、例えば自作NFTのPRとしてGIFを使う場合、第一段階として“フォロワー増やし”は必須ではありません。NFTを投稿するのであれば、アカウントを育てると同時にGIFを使うことが有効ではないでしょうか。
……って、あれれ、少し論点がずれてしまいましたね。

多くの国でこの機能が使えるようになり、NFT投稿が増えると思いますが、どんなふうに使われていくのか、個人的にもとても楽しみです。