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ブテリンさんが描く2023年の暗号資産業界−前田真実果の“暗号資産投資”はじめてみました! Vol.110

前回は破綻したFTXの元CEOであるサム・バンクマン・フリード氏逮捕の件と、バイナンスがアメリカの司法省に刑事告訴されるかもしれないという話題に触れました。
今週に入りサム氏はアメリカに身柄が引き渡されることが決定。またバイナンスについては自社保有資産の透明性を巡ってFTXの時のように出金が相次ぎ、先週前半の時点で60億ドル以上が出金されたのだとか。60億ドル=約7,930億円相当(コラム執筆時点)。現時点では落ち着きを取り戻しつつありますが、恐らく1兆円以上の出金に対応したものと見られます。
どちらの取引所の件についても今後の進捗が気になるところですね。

収支の方は、先週約3,000円のプラスとなりました。一時はビットコインなどを中心に大きく上昇したものの、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長による利上げ政策の継続姿勢が鮮明に打ち出されたことで上げ幅が縮小しました。
年の瀬に入り株式市場などの動きは鈍くなりやすい時期だそうですが、暗号資産(仮想通貨)市場への影響はどうでしょうか?

今週はBitLendingに預けているビットコインも含め、約6,000円のマイナス。このもやもやしたトレンドをなかなかブレイクすることができません。
コラムを書いている時点でのビットコインは約222万円、イーサリアムは約16万円と、どちらも先週と比べまぁまぁの下落(先週執筆時点BTC約240万円/ETH約18万円)。
先週は来年に向けて政策転換を図るのではないかという市場の期待感に対し、パウエル議長が釘を刺したかたちとなりました。今週始めに方向感の見えない動きを見せていたのもそれが要因となった感じですね。

ですが、今週は海外ではなく日本が世界の市場を動かしたのです。
具体的には、これまで「異次元の金融緩和」を実施してきた日銀が、ついに実質的な利上げに動きました。これによりドル円相場が大きく動き、対ドルで一時130円台に到達するまでの円高に振れました。つい先日まで円安を危惧していたのが嘘のように日本円が買われているということですね。

この日銀の発表は暗号資産(仮想通貨)市場にも影響を与えました。
ビットコインは約224万円から230万円ほどまで急上昇したものの、アジア全体の株価に加えアメリカの先物指数なども下落したことからリスクを回避する動きが加速。その結果、ビットコインは約222万円まで急落しました。日本の動きが発端となって暗号資産(仮想通貨)市場にここまでの影響が及ぶのを見ることがなかったので、良いかたちではありませんが、日本の金融市場が持つチカラを実感しました。

特別な発表を除けば、今年いっぱいはもう大きな経済イベントもないようですし、相場は年末までジリ貧とも言える動きが続くかもしれませんね……。

イーサリアム共同創業者が描く2023年の暗号資産業界

いよいよ今年も終わりが近づいているということで、様々な業界で来年の予想などを展開する記事を見かけるようになりました。
先日、イーサリアムの次回大型アップデート「シャンハイ(Shanghai)」についての発表がありましたが、イーサリアムの共同創業者として知られるヴィタリック・ブテリンさんが語った来年の業界展望についてご紹介したいと思います。

まず、このアップデートは今年9月に行われた「マージ(The Merge)」に次ぐ規模のものだそうですが、この大きなアップデートが、来年3月に実施する予定として開発者会議の中で設定されたそうです。

アップデートの内容は多岐に渡るそうですが、中でも注目すべきものは「ステーキングしたイーサリアムの引き出し機能」、「送金速度の向上と手数料の抑制」の2つです。

1つ目については、9月のアップデート以前にビーコンチェーンというところに預け入れられていたイーサリアムを自由に引き出せるようになります。これまではビーコンチェーンに預け入れステーキングしていたイーサリアムは、数量は増えても引き出せないでいました。それはマージ完了後にすぐさま引き出され、ネットワークが混乱に陥る事態を回避する狙いもあったようです。
シャンハイを経て、ついに自由にイーサリアムをステーキングして報酬を受け取ることができるようになり、今後はさらにイーサリアムネットワークへの貢献がしやすい環境が整います。

そして2つ目の送金速度と手数料について。
これまではネットワーク参加者が多くなるにつれて送金速度が遅くなったり、手数料が高騰するなどの状況がありました。これを改善すべく、「レイヤー2ネットワーク」と呼ばれる、イーサリアムとの互換性を持ったブロックチェーンを活用することで、ユーザーの利便性向上を図ります。
発表によれば、シャンハイ実施以降にレイヤー2ネットワークを活用すると、取引手数料を最大100分の1にまで抑えることができるそうです。イーサリアムを送金する際、手数料が3,000円もかかるような時期がありましたが、100分の1だと30円で済むということですね。これはすごい。

イーサリアムはこのようなアップデートを控えていて、2023年は様々な動きがあるものと予想できます。

FTXやバイナンスの良くないニュースが続き、暗号資産(仮想通貨)全体に対する不信感につながったように思います。暗号資産(仮想通貨)って、一人ひとりが透明性の担保された情報を基に信頼でつながれる場所に必要なものだと思っていたのに、結局自分さえ良ければいいようなマインドの人たちがこの業界を牽引していたのかとがっかりしました。それが商業活動だと言われればそれまでかもしれませんが、ふつーに借りたもんは返さなきゃいけないし、できないことは約束するなよと言いたい。そんなんふつーじゃん。
……と、まぁ暗号資産(仮想通貨)を含む、来るべきWeb3の世界に期待しまくっている私は一人でぷんすかしていたのですが、そんな中、イーサリアムの父(という枕詞が似つかわしくない1994年生まれの20代)ブテリン氏の言葉はブロックチェーンの技術の原点的思想を感じさせてくれるものでした。

発言の中で主に注目されたのは、①10億人規模の多くの人がアクセスできるウォレットのインフラを整えること②ハイパーインフレを耐えうるステーブルコインを作ることが重要だと語った点だと思います。
また、上に挙げたような暗号資産(仮想通貨)に関する失敗は、それ事態の問題ではなく、過剰なレバレッジ、不適切な管理、詐欺によって起こされたものとしています。技術の問題じゃなく使う人(サービスの提供者)の問題ということですよね。

そして、関連記事で多くピックアップされていたのは、FacebookやTwitter、Googleといった集中型独占企業からログイン権限を奪うような技術を開発することは(イーサリアムでサインインする)、イーサリアムの市場を拡大するチャンスだという内容です。

現在進行形でしっかりGoogleさんを使いながら記事を書いている私ですが(Braveも使ってはいるんだけど)、彼らがいなくなった世界がどうなるのか見てみたいです。
分散型技術によって作られる未来に興奮していると語るブテリンさんに期待を込めてbetしたい。

 

今回は以上です。

あ、ここまで来て思い出しましたがメリー・クリスマス!
近頃の暗号資産(仮想通貨)関連事件への憤りから、何サマ気取りになってしまったような気がしてちょっぴり心配ですが、暗号資産(仮想通貨)は誰かに皺寄せがいくような富と権力の集中型社会から抜け出した世界に必要なものと思っていますので、ぜひその原点を歪めないでほしいと聖夜に願います。

それとは別でやっぱ現物支給のプレゼントもほしい俗物的な私をお許しください。
サンタさーん。

Profile ◉前田 真実果(まえだ まみか)
京都府出身。
レースクイーンやモデルとして活躍し、雑誌・ラジオ等に多数出演。
Adobeソフトの使用に長けており、Instagramなどで使えるGIF作成を日課としている。オリジナルキャラクターのGIFは2ヶ月で1,700万ビューを越える。

SNS
ブログ:Mamika Maeda Note
Twitter:@mamilium
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