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指標から聞こえる景気後退の足音−金融のプロが教える“経済の見方” 第37回

景気後退の足音が聞こえ始めてきた経済指標

1月18日の米国株式市場はNYダウ平均で613ドルの大幅な下落となりました。年初1月5日に付けた安値32,390ドルから13日には34,302ドルと1,372ドルも上昇する展開でしたが、17日に発表された経済指標の結果を受け下落しています。

発表された指標は、生産者物価・小売売上高・鉱工業生産指数の12月の結果です。

生産者物価(PPI)は前月比0.5%の下落となり、2020年4月以来のマイナスでした。また、小売売上高は前月比−1.1%と2ヵ月連続のマイナスを記録し予想値を下回り、自動車、ガソリン、建築資材などを除いたコア小売売上高も前月比−0.7%でした。クリスマス商戦が10月から始まった影響もありますが、年末の消費者の購買意欲低下がうかがえた結果と言えるのではないでしょうか。

さらに、鉱工業生産は前月比−0.7%で11月の結果も−0.6%から−1.1%へ大きく下方修正されました。製造業生産指数も−1.3%と大きく落ち込み、予想値を大きく下回っています。

市場の心境に変化も

これまでは消費者物価指数(CPI)の上昇率が低下傾向となってきていることから、インフレの後退を好感する市場の展開が続いていました。しかし、昨年からの金利上昇の影響や物価上昇による影響を受けた景気減速の様子を映し始めた経済指標の発表に、市場のムードが変わり始めたようです。

先週から10-12月期の決算発表が始まっています。すでに発表された大手金融機関ではかなり低調な内容の決算となっており、これから発表される企業についてもかなり厳しい内容になると思われます。

またFRBによる金利引き上げは今後も継続されると考えられますので、金利上昇による影響は個人消費、企業の設備投資などへさらに広がりを見せると思われます。

年初、楽観的な展開であった米国株式市場ですが、これからは企業業績の減速を映す逆業績相場へ向かうと思われます。十分な注意が必要と考えます。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。