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GMO Web3株式会社 内田朋宏氏 独占インタビュー

Web3ベンチャーとGMOインターネットグループの架け橋
Web3ベンチャー支援特化のハンズオン型CVC

2022年11月21日(月)発売の月刊暗号資産1月号Vol.46より

GMO Web3株式会社では、GMOインターネットグループのWeb3ベンチャー支 援機能を集約し、継続して研究・事業運営を行ってきたブロックチェーン技術や インターネット金融・暗号資産関連事業で培ってきた技術・ノウハウ等をWeb3 ベンチャーに提供することで、国内Web3市場の活性化及びWeb3ベンチャーの成長に貢献するとともに、Web3ベンチャーとGMOインターネットグループを繋ぐ “架け橋”としての役割も担う。

Web3事業者を応援できる事業を目指す

――GMO Web3株式会社が立ち上げられた背景について、お訊かせください。

2022年の前半くらいから、優秀な方々のWeb3領域への参入が、より顕著に見られるようになったと思っています。GMOインターネットグループは、Web3関連の事業に2016年頃から携わらせていただいていました。例えばGMO コインは、GMOフィナンシャルホールディングスのグループ会社として暗号資産取引所を運営。他にも、Adam by GMOというNFTマーケットプレイス、アメリカの法人GMO-Z.com Trust Companyでは「GYEN」「ZUSD」というステーブルコインの提供。GMOサイバーセキュリティ byイエラエでは、仮想通貨やブロックチェーンに対するセキュリティ診断や検証サービスの提供など。長期にわたってWeb3関連事業を始める際に必要なパーツを提供していたので、Web3領域にチャレンジされる起業家の皆様を応援できる体制にあったと思っています。

GMOインターネットグループは新しいチャレンジをされる皆様に対して、お手伝いができればとWeb3ベンチャー支援に特化した、ハンズオン型コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)という形でGMO Web3株式会社を立ち上げさせていただきました。

しかし、投資リターンを追求していくというよりは、皆様と一緒にWeb3に取り組んでいきたい。若くて優秀な方々と繋がり、応援させていただく形で関わりたいという思いが強くあります。また、GMOインターネットグループ全体で様々なWeb3領域について取り組んでいましたが、グループ各社がそれぞれ独立して活動していたため、GMO Web3株式会社という「箱」を創生することによって、グループ全体のWeb3領域での活動を、対外的に発信させていただくと同時に、Web3関連の窓口として機能する体制を作る事を目的として立ち上げた経緯があります。

Web3ベンチャーに対するGMOインターネットグループのソリューション

――GMO Web3 株式会社設立の話が上がってから創生に至るまで、どれくらいの時間を要したのでしょうか?

2022年5月中旬頃、グループ代表の熊谷をはじめとする関係者とコミュニケーションをとった際に「Web3領域にGMOインターネットグループとして本格的に取り組む」という話になりました。同年6月9日にプレスリリース。3週間ほどでプレスリリースまで至っています。

――今回その会社を創生するにあたって、内田さんが抜擢された理由をご自身ではどのようにお考えでしょか?

私が所属している部署、グループ投資戦略室はマジョリティーの出資をさせていただいております。私たちの業務はグループの仲間作り、金融投資というグループの資金を運用することの二つ。これらで培ったノウハウが、GMO Web3株式会社でも活かすことが出来ると見込んでいただけたためだと思います。

――今回、GMO Web3株式会社を立ち上げる際に一番苦労された点は?

役員の皆様、社内の担当者の方々など関わる方の人数多いので、その調整で実務的に大変な部分もありましたが、一番苦労している点は、Web3のトレンドをキャッチアップしていくことです。1週間、1ヶ月単位でトレンドが大きく変わる領域で、毎月多くのWeb3ベンチャーの皆様と面談させていただいております。Web3領域で包括的にサポートをさせていただくため、深い知見の獲得に日々努力を重ねています。

――Web3関連事業の領域・ベンチャー企業経営のプロフェッショナルと深い知見を持つ有識者による、現在の役員体制にはどのような意図がありますか?

GMO Web3 株式会社を発足するにあたって、Web3に精通している多くの有識者の皆様に参画していただき、全員で波をキャッチアップしていきたいという意図があります。 

弊社では60分で4社ほどの企業様にプレゼンを行っていただき、表彰するGMO Web3ミートアップを月に一度、開催させていただいています。その際に、GMOインターネットグループのWeb3関連サービスを提供している担当者が参加できる体制にあった方が良いと判断し、GMOインターネットグループのWeb3関連事業のコアメンバー並びに、業界の有識者の方々が集結している体制を整えています。今後もメンバーには、専門領域での知見をお持ちの方々にご参画いただく予定です。

――事業を通してWeb3領域と関わっていて、注目している業界のトレンドや動きはなんですか?

ブロックチェーンのアクティビティの半分が、ゲーム関連のものであるといったレポートが先日出ていました。ブロックチェーンゲームは、他のWeb3関連事業と比較して、ユーザーにとってメリットを感じやすい点があると思っています。

具体的にいえば、自分がかけたお金や時間が資産になって、換金可能になること。今までのゲームでは、運営側が何らかの理由でサービスを終了した場合、かけたコストもリセットされていました。Web3領域で開発が行われているブロックチェーンゲームでは、他の暗号資産や法定通貨に変えることもできるなど、明確なユーザーメリットがあるので、Web3が広まっていく1つの入り口として注目しています。

また、大手投資会社などから出資を受けている優秀な起業家の方々は、L1のブロックチェーンの開発やDeFiなど、より専門的なスキルや知見が必要な領域にチャレンジしている印象です。こちらは期待・注目というより、応援させていただきたいという気持ちですね。

――実際3ヶ月やられて、感触はどうでしょう。

とにかく皆さん優秀な方ばかりです。非常に先進的で複雑な領域を理解して事業に取り組んでおられる方がすごく多くて驚いています。ただ、シード期の起業家さんに来ていただくことが多いのでその時点では活用事例が無いものもあり、プロダクトの判断が難しい場合もあります。

――Web2時代から事業をされていて様々な経験や実績をお持ちの方々が、Web3領域に参加しています。日本のクリプト業界が活性化するためには非常に良い流れだと思うのですが。

Web3関連のプロダクトは、UXが複雑ですよね。これは半年ぐらい前の話なってしまいますが、STEPNというブロックチェーンゲームを始めるのに、GMO コインでETH購入、ETHを海外取引所に送って、海外取引所でSOLに変えて、SOLをSTEPNに送って始める。ゲームを始めるまでに30分以上かかる。送金を待っている時間で別途時間がかかる。このような煩雑さの課題は現在でもあると思うので、もっとスピーディかつ、簡単にできるようにすることで、Web3領域のプロダクトの認知を広げることが出来ると思っています。こういった部分についても、GMOインターネットグループが提供しているリソースを活用することで、私たちも活躍できる場面あがると感じています。

Web2時代で様々な経験をされてきた方々はUXをやり尽くしいてると思うので、培った知見をWeb3関連事業やプロダクトに落とし込めると、Web3領域もよりユーザーに寄り添う形で発展していくと思います。

――中長期的な目線で、GMO Web3株式会社が考えていることは何ですか?

ミートアップ等、Web3領域にチャレンジされる起業家さんにお会いしてサポートさせていただく体制は継続させていただきつつも、Web3事業者さんを応援できるような事業もできるようになると面白いと思っています。

――読者の皆さんにメッセージをお願いします。

Web3領域事業に取り組んでいる方々は優秀な方が多く、そのような人財は日本の宝だと思っています。繰り返しになりますが, 皆様と一緒にWeb3に取り組んでいきたい。Web3領域にチャレンジする皆様と、応援させていただくという形で関わりたいという思いが強くあります。

ブロックチェーン技術やインターネット金融・暗号資産関連事業で培ってきた技術・ノウハウをWeb3領域で挑戦される皆様に提供することで、国内Web3市場の活性化及びWeb3ベンチャーの成長に貢献するとともに、Web3ベンチャーとGMOインターネットグループを繋ぐ“架け橋”としての役割を担って参ります。

ポイント

・ユーザーに寄り添うUXの構築
・“架け橋”としての役割も担う

GMO Web3株式会社
代表取締役社長
内田朋宏 -Tomohiro Uchida-

2012年にGMOインターネット株式会社(現:GMOインターネットグループ株式会社)入社し、グループ投資戦略室にて、仲間づくり(グループジョイン)や その他の投資プロジェクトに従事。2021年にグループ投資戦略室長に就任。2022年7月より、GMO Web3株式会社の代表取締役(兼任)。