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株式会社ビットポイントジャパン代表取締役 小田玄紀氏 独占インタビュー

Web3.0と暗号資産の「未来」

2022年7月21日(木)発売の月刊暗号資産9月号Vol.44より

新規通貨の上場や「貸して増やす」などの新サービスを続々と展開する人気の国内取引所・ビットポイント。その代表取締役として暗号資産業界の最前線に立つ小田玄紀氏に、新規通貨の上場や「貸して増やす」などの新サービスを続々と展開する人気の国内取引所・ビットポイント。その代表取締役として暗号資産業界の最前線に立つ小田玄紀氏に、今注目のキーワードについて話を聞いてみた。

―まずはビットポイントとしての、最近の動向についてお伺いします。5月にSBIホールディングスとリミックスポイント社(※ビットポイントジャパン社の親会社)の資本業務提携、及びSBIホールディングスがビットポイントジャパンの株式51%を取得して子会社化することが発表されました。この提携によりどのような相乗効果が期待できますか?

小田玄紀氏(以下、小田):SBIホールディングスとの提携効果は非常に大きなものがあると考えていて、ビットポイントにおいては主に3つのシナジーを想定しています。
 1つ目が、SBIグループと会員をクロスセルすることによる会員数の増加です。SBIグループは4000万人近いお客様を抱えており、証券系でも800万人を超えるお客様がいます。その方々をビットポイントへ送客することで、暗号資産取引所として会員数日本一となることも現実性を帯びてきます。もちろん会員数が増えるほど事業拡大がしやすくなりますので、新サービスの提供がよりスムーズにできるようになります。
 2つ目が、SBIホールディングスの連結子会社でもある、暗号資産業界でトップレベルのマーケットメイカー「B2C2」との提携により、より大きな流動性が得られることです。これによってお客様に提供しているビットポイントの暗号資産売買を強化することができ、お客様はより狭いスプレッドで取引することが可能になります。
 3つ目が、国内取引所として初上場となる暗号資産を取り扱う機会が増えるであろうという点です。SBIグループは世界中に投資をしており、その中には将来性がある暗号資産プロジェクトが数多く存在します。こうした中からビットポイントで取り扱う暗号資産が出てくれば、お客様にとっても将来性のある暗号資産へのアクセスが可能になるというメリットにつながります。

―次に暗号資産業界全般の話として、最近はNFTアートが話題になっていますが、NFT市場の現状と将来性についてどのように考えていますか?

小田:NFT市場は去年時点で約4.7兆円規模まで成長しており、今後も益々市場規模が大きくなっていくことが想定されます。
 NFTアート市場はどうしても販売額や取引高の大きさが注目されがちですが、市場が健全に成長していくために大事なことは、一時的な価格変動に左右されることなくブロックチェーンとしての価値を発揮でき、かつ多くの人に受け入れられ、需要の存在するプロダクトかどうかが重要だと考えています。
 例えば、日本発のNFTプロジェクト「新星ギャルバース」が、今年の4月に世界を騒がせました。現在世界一のマーケットプレイスであるOpenSeaで、昭和アニメを感じさせる8888体のギャルのNFTアートを売り出し、24時間取引ランキングでなんと世界1位になりました。このことから、魅力的であれば多くの人が欲しいと思い、需要が生まれることがはっきりとしています。他にも、動物や人、日本要素をもった忍者や漢字などのNFTアートも存在していますし、今後参入してくる人や企業が増えていくことで、ありとあらゆる分野のNFTアートが生まれてくるはずです。

―「新星ギャルバース」のように日本発であったり、日本的なアート作品が話題になることが増えていますね。

小田:この分野で日本が活躍するチャンスは大いにあります。ご存知の通り日本は世界有数のコンテンツ大国です。そして、強力なコンテンツを持つ日本の企業らが、今まさにNFTやWeb3.0の分野に本格的に参入し始めています。最近では政府もWeb3.0を推進する方針を示していますから、この分野で日本発であったり日本的なものが世界を席巻する未来も十分想定できる状況となっています。
 ただし、投資初心者の方には注意していただきたい点もあります。例えばただの岩の絵が描かれたNFTが400ETH(約1億4200万円)で売れるなど、一部では驚愕してしまうほどの価格での取引が行われるケースがあったりもします。実際に需要が存在していれば問題ないですが、マネーゲームとして高騰して一時的にだけ需要が存在しているだけのものや、悪質なプロジェクトだと運営の自己売買により高額を付けて流動性があるように見せかけて、騙して売付けることを考えているケースも考えられます。そのため、健全なプロジェクトであるかの見極めに注意していただきたいですね。

―しっかりと課題や注意点も認識しておくことも重要ですね。最近注目されているものとしてはGameFiがあります。そもそもGameFiがこれほど話題になっているのはなぜでしょうか?

小田:GameFiは、多くの人が収益を得られるようにすることを目標としたコミュニティであるギルドが世界中で発足するなど、現在非常に盛り上がっている領域です。モンスターのNFTを使って戦うことができる「AxieInfinity」が有名ですが、キャラクターの可愛さや気軽にできるゲーム性を備え、かつ稼ぐこともできたからこそ世界中で人気になったと考えています。特にスカラーシップ制度という画期的な仕組みを導入したことが爆発的に火をつけました。
 これはゲームするために必須となるNFTを初期投資で購入することができない人に対してNFT保有者が貸し出し、借りた人がゲームを行って発生した報酬を双方で決めた割合にて分け合うという仕組みです。これによって雇用関係が生まれ、GameFiをプレイすることで生計を立てる人が続出して社会現象となりました。

―まさに次世代の遊び、次世代の稼ぎ方ですね!

小田:ただし、GameFiにも課題はあります。GameFiはゲーム内で活用する暗号資産について、価格が上がりすぎると新規参入のハードルが高くなりすぎてしまい、逆に価格が下がりすぎると新規参入者が寄り付かなくなるというケースが頻発しています。今後はゲーム自体の魅力によって多くのプレイヤーを取り込みつつ、NFTや暗号資産の需給バランスがとれている状態を作ることが運営者に求められるでしょう。
 ちなみに、当社で取り扱っているDEP(ディープコイン)についても、GameFiプラットフォーム「PlayMining」でゲームをプレイすることで得られる暗号資産の1つになります。ぜひ触れていただき、PlaytoEarn(遊んで稼ぐ)の世界を体験してみてください。

―さらに話を広げると、最近ではWeb3.0やメタバースも注目されています。

小田:Web3.0では、情報の確認を特定のサーバーや企業が認証を行うのではなく、分散型のネットワークシステムが管理して相互認証するため、データの改ざん性が低い特性を持っています。そしてプログラムで自動執行されるサービスが次々と創出されてくるものとされています。特にメタバースの領域が発展していくことになり、メタバース空間だからこそできることを実現する取り組みがこれから5~10年以内に具体化していくことは間違いありません。

―メタバースが普及していくことで社会や我々の生活はどのように変わるのでしょうか?

小田:人々のコミュニケーションのあり方も大きく変わってくる可能性があります。メタバース社会で同時通訳機能なども実装されれば言語の壁も無くなりますし、誰しもがメタバース空間内で同じ行動が可能になります。
 具体的にどのようなことが行われるようになるのか例を挙げるとすれば、メタバース空間におけるメタコマースは、リアル店舗、ECに次いで第3の商空間として市場化が着実に進み始めています。
 ここからさらに発展し、メタバースのフリーマーケット空間にアクセスすることで今のネットでは接点を持つことがなかった個人の売り手と買い手が出会い取引を行うようになることも想定できます。つまりメタバースを通じて、誰もが世界中の人をターゲットに取引が可能になるということです。
 そして、その際には暗号資産が世界共通の通貨として、より活用されることになるでしょう。今までになく、しかも今までよりも規模の大きなコミュニケーションやビジネスが成立するわけですから、その経済効果はもはや計り知れません。

―暗号資産が活用される場にもなるわけですね。

小田:加えて、業者の信頼性をチェックする観点で、過去の取引履歴をブロックチェーンで確認できることが当たり前となり、まさにWeb3.0の強みである分散型ネットワークによる改ざん不可の情報が活かされる時代が来ると思われます。
 また、契約締結が24時間自動執行できるブロックチェーンを活用することで、収益機会が増えるとともに、人件費を抑えることができることからコストダウンも期待されるでしょう。メタバースが普及するなかでブロックチェーン技術も欠かせないものになります。

―暗号資産やブロックチェーンが多くの人にとって欠かせないものになる未来が来ると!

小田:はい。暗号資産の価値をただの投資対象としてだけ見るのは誤りであるといえます。暗号資産とブロックチェーンの可能性は無限大です。
 どのようにその価値を発揮させていくのか、その恩恵を受ける多くの人々にとっても、ゼロから会社や事業を創り出す多くの起業家にとっても、今まさに素晴らしい機会が平等に与えられています!

Profile◉小田 玄紀(おだ げんき)
1980年生まれ。東京大学法学部卒業。大学在籍時に起業し、後に事業を売却した資金を元にマッキンゼー出身者らと共に投資活動を始める。「頑張る人が報われる」をコンセプトにして起業家や社会起業家の事業立上げ・経営支援を行う。株式、FX、債権などの投資にも精通し、暗号資産取引にも携わる。2016年3月に上場会社子会社として初の暗号資産取引所であるBITPointを立ち上げ、同社代表取締役に就任。