2022.05.19
北海道上川郡新得町の農園「サホロ椎茸」は19日、椎茸農家を応援することができる「しいたけNFT&プレミアム椎茸PROJEKT」を発表した。
このプロジェクトで発行されるNFTのタイトルは「Shiitake mushrooms 365」で、6月1日から販売が開始される。
NFT化するのは、長年に渡り撮りためてきた椎茸の写真だ。園主の正脇健次さんが農家の見習い研修をしていた頃から撮り始めたもので、総数は約7500枚。今回はその一部をNFT化した形となる。
コレクション総数は2207枚で、初回販売ではその中の100点を販売する。ブロックチェーンはイーサリアムを活用し、大手NFTマーケットプレイスのOpenSeaで販売を行う。初回販売価格は0.03ETH(現在価格約7,500円)で、ロイヤリティは10%となる。販売収益はサホロ椎茸の支援金として利用するという。
使途のメインは「プレミアム椎茸」の開発費に充てる。十勝地方の気候に紐付いた伝統的栽培方法で最上級の椎茸を栽培することを目指すとしている。
使用する椎茸菌種は「5K-16」。旨味成分の含有量の分析値も高く、料理店を中心に「美しい、美味しいきのこ」として認められているという。
栽培が難しい菌種としても有名であり、生産者も少なく、希少価値の高い品種として知られているとサホロ椎茸は説明する。
栽培に使用する原木は、北海道産オリジナルとなる「ミズナラ」で、現在では珍しい不朽期間を設けている。さらに北海道では珍しくなった森の中での腐朽を行う。
2夏経過の腐朽期間を行えるのは、十勝の厳しい寒冷気候があってのものだという。8月でも平均気温は20度前後で、1月には最高気温でも氷点下、最低気温は-20度を下回ることもある。椎茸栽培には厳しい気候だが、その分腐朽時間がかかるため、最高の椎茸が育つという。
このプロジェクトは原木しいたけ農家だけではなく、原木しいたけ農家を取り囲む経済圏を活性化させることを目的としている。
なお、今回発行するNFTでは属人性が高いことから、資金調達の継続性に時間的な限界があるという。そのため、このプロジェクトの最終目標として、開発するプレミアム商品のブランド化を目的としている。
現在「農業×Web3.0」の動きが加速している。
農業ブランディングサービスを展開する株式会社農情人は、「田んぼアート」のNFT化に取り組んでいる。田んぼにイラストを書き、上空から撮影した写真をNFT化するプロジェクトだ。
また、株式会社フォーイットは農業支援のため、メニューのスポンサー枠をNFT化して発行する「観光農園スポンサーNFT」を始めた。同プロジェクトでは、収穫体験型農園「いちご物語」が参加している。
画像:Shutterstock