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Vol.69ニュースから見る暗号資産・Blockchain業界

1月14日(金)メールマガジン配信号より

アジア最大のブロックチェーンカンファレンス「Japan Blockchain Conference」の事務局より提供を受け、業界に関する事務局独自の見解を隔週で配信させていただきます。

〜米国が本腰を入れる金融のデジタル化〜

米国における金融・決済のデジタル化が加速している。

これまで中央銀行デジタル通貨(CBDC)の分野で出遅れるなど、世界をリードする国家としては富のデジタル化に慎重な姿勢を見せていた。新型コロナウイルスの存在や世界の潮流が変化していることで、風向きが大きく変わったと言えるだろう。

CBDCに関しては、Visaとイーサリアム関連開発企業のConsenSysが提携し、CBDC関連インフラの開発に向けて動き出す。

各国のCBDCに対応するための動きではあるが、世界の基軸通貨である米ドルの存在を念頭に置き準備が進められるのは間違いない。将来的に米国でCBDCが発行された際、スムーズに対応するための下準備とも言える。

また、米国で議論の的となっているステーブルコインについても動きが見られる。

Visaと並ぶ決済大手のPayPalが、独自ステーブルコインの開発に取り組んでいることが明らかになった。

PayPalは開発については認めたものの、現時点で多くを語っていない。しかし、同社の暗号資産に対する姿勢や決済をよりシームレスな形にしていくというビジョンを鑑みれば、独自ステーブルコインの開発は想像の範疇にあっただろう。

多くの課題があるとしながらも、PayPalは規制当局と連携して進めていくと述べている。

さらに、銀行がステーブルコインを発行する動きもある。

New York Community BankやFirst Bankといった銀行らが集結し、発行元が銀行であるステーブルコイン「USDF」の実用化を目指し、「USDF Consortium」と称した組合を結成。米ドルに価値を裏付けたステーブルコインとして、従来の金融システムにおける摩擦を軽減させることを目的としている。

銀行が発行元であるため、従来のノンバンクによる発行よりも信頼度が高い。

こうした事例を見れば、大企業などを中心に金融や決済分野のデジタル化を推し進める動きが加速していることがうかがえる。米政府や規制当局はステーブルコインについて厳しい立場をとっているが、今後、様々な試みを受けながら、適切な規制整備が求められるだろう。