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Vol.61ニュースから見る暗号資産・Blockchain業界

9月24日(金)メールマガジン配信号より

アジア最大のブロックチェーンカンファレンス「Japan Blockchain Conference」の事務局より提供を受け、業界に関する事務局独自の見解を隔週で配信させていただきます。

〜中国当局と中国巨大企業が及ぼす暗号資産市場への影響〜

新型コロナウイルスにより世界的に金融緩和措置が取られているなかで、米国では先日、今年11月にもテーパリング(量的金融緩和の縮小)を実施する可能性が触れられた。これはすなわち、金融緩和を実施したことで一定の結果が出たことを意味する。

世界経済の中心であり、大きな影響力を持つ米国がこれに言及した点は、経済が立ち直りに向かっていることを示したことにもつながる。

しかし、回復しつつある世界経済を揺るがす新たな懸念事項も出てきている。中国最大規模の不動産開発大手・中国恒大集団の経営破綻に対する懸念だ。

現在同社は33兆円規模の負債を抱えているとし、デフォルト(債務不履行)となった際には、2008年に生じたリーマンショック級の金融危機が起こる可能性を指摘する声も挙がっている。22日に利払いを行うと声明を出したことで一旦は債務不安が後退したものの、今後相次ぐ利払いについてはなおも火種がくすぶる。

実際、中国当局は恒大集団の経営破綻に十分備えるよう地方政府に通達するなど、経済および社会的な影響を危惧した対応を行っている。20日の時点で株式市場や暗号資産市場に多大な影響を及ぼしていることも踏まえると、今後も予断を許さない状況が続くものと予想される。

中国企業が抱える問題としては、アリババグループ傘下アントグループにおける電子決済サービス「アリペイ(支付宝)」事業の分割も今後何らかの影響を与える可能性がある。

中国当局はアリババやその傘下が持つ影響力に警戒感を抱いており、監視体制を強化し、組織の弱体化を図る狙いが見え隠れする。アリババは世界最多とも言えるブロックチェーン特許を持っていることから、組織の弱体化は今後関連業界にも響いていくかもしれない。

今年に入り中国発のニュース等により暗号資産市場は乱高下する展開を見せている。中国リスクが暗号資産市場に与える影響は未だ健在で、今は最大限の警戒を持たなければいけないだろう。