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Vol.56ニュースから見る暗号資産・Blockchain業界

7月9日(金)メールマガジン配信号より

アジア最大のブロックチェーンカンファレンス「Japan Blockchain Conference」の事務局より提供を受け、業界に関する事務局独自の見解を隔週で配信させていただきます。

〜中国リスクで揺らぐ暗号資産マイニングの行方〜

ビットコインのブロックチェーンを支える上で必要不可欠な作業がマイニングだ。

取引の記録を一定量集めたブロックを生成し、チェーン状につなげていく。マイニングを行う作業者である「マイナー」は、ブロックを生成した報酬としてビットコインを受け取る。この仕組みがあることで、ビットコインのブロックチェーンの安定化と、それに貢献したマイナーの双方がWIN-WINな関係を築き、今日のビットコインがあると言っていい。

しかし、現在このビットコインを取り巻く環境に変化が起きている。

経済大国にして暗号資産への締め付けが厳しい国である中国が、さらなる規制強化に乗り出したのだ。これまで以上に暗号資産取引を規制する動きが強まったが、今回はこれに加えマイニングに対する締め付けを強化した。

すでに内モンゴル自治区や四川省、雲南省などでマイニングを取り締まる動きが加速しており、マイナーは撤退を余儀なくされている。

この動きによってビットコインのハッシュレートは急落し、不安定なものとなった。これが原因となり、ビットコインマイニングの難易度調整も過去最大となる27.94%のマイナス調整を記録したのも記憶に新しい。

中国リスクが大きなネガティブ要因となっているのは間違いないが、悲観しすぎる必要もない。

というのも、中国から撤退したマイナーを受け入れようとする国・地域がいくつかあることに加え、マイニングの収益率自体はビットコイン価格が500万円台であった時期にまで改善されつつある。

そのため、これを機に新たなマイニング事業者が参入することも予想される。

一方で、これまで稼働していたS9に代表されるような古いマシンが淘汰され、エネルギー効率が改善されることも考えられるだろう。

また、中国から撤退したマイナーが再びマイニングを行うようになれば、ハッシュレートもさらに改善することだろう。

今後も中国の規制はさらに強さを増すものとみられるが、一連の出来事を受けマイナーが他国へ移動することにより、こういった政治的リスクを分散させることにもつながる。

そのため、長期的に見れば中国集中が顕著であったビットコインマイニングのあり方が改善されたとも言えるだろう。