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Vol.52ニュースから見る暗号資産・Blockchain業界

5月14日(金)メールマガジン配信号より

アジア最大のブロックチェーンカンファレンス「Japan Blockchain Conference」の事務局より提供を受け、業界に関する事務局独自の見解を隔週で配信させていただきます。

〜ステーブルコインが取り巻く環境の変化〜

今、ステーブルコインを取り巻く環境に変化が見られている。

ステーブルコインの代表例として挙げられるテザー(USDT)は米ドルを準備金として用意し、それに対して1:1の割合で発行される。つまり理論上は米ドルと価値が同じということになる。

このテザーは暗号資産取引所での取引で重要な役割を担っているほか、暗号資産の強みを生かした少額決済などでも用いられる。時価総額順位で常に一桁台に位置していることからも、需要の大きさがうかがえる。

これまではステーブルコインに懐疑的な意見が多かったが、このテザーを発行するTether社が米ニューヨーク司法当局との係争で和解した頃から潮目が変わってきている。

そして今月には、国内に関連した新たな動きがみられた。

1つは、海外取引所バイナンスにおいて、GMOグループ傘下が開発した日本円のステーブルコイン・GYENの取扱いが開始されたことだ。

すでに前払式支払手段扱いの日本円ステーブルコイン・JPYCがDeFi市場などで広く使われている中、大手取引所での日本円ステーブルコインの取扱いは初めてとなる。このGYENおよびJPYCのどちらも少額決済での利用を念頭においたプロジェクトであるという点で共通する。

そして国内におけるステーブルコインの利用について、日銀の黒田総裁が初めて立場を明らかにした。

黒田総裁は課題が多いと前置きした上で、ステーブルコインが便利な決済手段になり得ると評価。暗号資産については価値を裏付ける資産がないが、ステーブルコインにはそれがある。

加えて、新型コロナウイルスの感染拡大などを踏まえてキャッシュレス決済の導入が急がれていることも背景にあるだろう。

様々な要因が重なり、黒田総裁が前向きな姿勢を示したことは、日本円ステーブルコインと国内における暗号資産決済の今後に大きく影響する。

暗号資産に対する認識や規制に変化が生まれている中で、このステーブルコインに関する議論も引き続き継続して行われていくことを強く願うばかりだ。