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Vol.37ニュースから見る暗号資産・Blockchain業界

10月16日(金)メールマガジン配信号より

アジア最大のブロックチェーンカンファレンス「Japan Blockchain Conference」の事務局より提供を受け、業界に関する事務局独自の見解を隔週で配信させていただきます。

〜全世界で急速的に広がるCBDCの議論〜

近頃、中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)の話題が絶え間なく展開されている。

主要7ヶ国(G7)や20カ国・地域(G20)のほか、世界各国の中央銀行が協力体制を敷いて議論を急速に進めている。

日本においては、9日に加藤勝信官房長官がCBDCへの取り組みに言及したのを皮切りに、実証実験に向けた具体的なスケジュールや内容が明らかになった。

これほどまでに慌ただしく動き出した背景には、中国の存在が大きく映る。

先日開催された国際銀行間通信協会(SWIFI)主催のバーチャル会議で、中国人民銀行副総裁である Fan Yi Fei氏が明かしたデジタル人民元(DCEP)の開発具合は堅調さをアピールするに十分であった。

その数日後には中国・深センで約1億5,000万円のDCEPを5万人に200元(約3,200円)ずつ配布すると発表され、抽選には200万人分もの申請が集まっている。この状況を鑑みるに、現地でも非常に大きな関心が集まっていることがわかる。

中国のDCEPは正式ローンチに向け佳境に入っているが、世界の首脳陣はこれをよしとしていない。

13日に開催されたG7の財務相・中央銀行総裁会議で、CBDCに必要な要素を明示した共同声明が採択された。

この共同声明ではCBDCを発行する際に、いかに透明性を担保し、世界各国の理解を得るかという点に重きが置かれている。

会議後の会見で麻生太郎財務相は中国をけん制するように「中国さん、あなた透明性大丈夫?」と発言し、プライバシー保護の観点で懸念を示した。

中国がいかにDCEPを管理・運営していくかは不透明な点もあるが、現状のCBDC開発における進行状況を踏まえると、日本や米国といった後発組が焦るばかりに横槍を入れているようにも見える。

いずれにせよ、CBDCの発行に関して世界規模の検討がなされている点は、これまでの貨幣システムに大きな転換期が訪れていることを表している。

新時代にふさわしい貨幣のあり方を実現するためにも、大いに議論および検討がなされることを期待したい。