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米CPIから見るインフレ鈍化の行方−金融のプロが教える“経済の見方” 第41回

今週発表された米国経済指標は、米国景気が引き続き堅調に推移している状況を見せました。

2月14日(火)に発表されたCPI(消費者物価指数)1月は、前年同月比+6.4%で前月の+6.5%から鈍化したものの、予想の+6.2%を上回りました。7ヵ月連続で鈍化してきているものの予想より強く、インフレ鈍化に一服感が感じられる結果となりました。

15日(水)は小売売上高1月が発表され、6,970億ドルで前月比+3.0%と大幅な増加になりました。雇用統計で見られた低水準にある失業率など底堅い労働市場の動きや堅調な賃金に支えられ、個人消費が昨年末の減速から持ち直したことを示しています。

こうした結果を受けて、「ディスインフレのプロセスが失速し、景気軟化の兆候が限られる中、今回の力強いデータは米金融当局が金利を高水準でより長期にわたって維持する必要があることを示唆している。政策金利のピーク水準は高くなるリスクが強まりつつある」とBloombergのエコノミストは述べています。

しかし、NY株式市場は下落し始まったものの、その後「景気が過熱も失速もせず、緩やかな経済成長と長期金利の低位安定が続く程よい状態」の『ゴルディロックス』ムードにより反発しています。

NY株式市場では、「FRBによる今後の利上げは0.25%で1回」との見方に依然として傾いているようですが、すでにパウエル議長は「複数回の追加利上げ」をコメントしています。今週の指標は、このコメントを後押しするものとなっています。

次のFOMCの開催は3月21日-22日になりますので、これからの約1ヵ月あまりの間は動きづらい状況が続くことになりそうです。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。