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4名の高官によるタカ派的な姿勢−金融のプロが教える“経済の見方” 第40回

FRB高官によるタカ派的なコメント

2月7日にパウエルFRB議長がワシントンでのイベントで「インフレ沈静化のために複数回の追加利上げが必要になる」と述べるなど、先週末に発表された雇用統計の結果を受けてスタンスを強めたものの、先週のFOMC後の発言と大きな違いがないとして株式市場は上昇しました。

このようなマーケットの反応を見てと思われますが、翌日8日にFRB高官によるタカ派的なコメントが相次ぎました。

  • ミネアポリス連銀 カシュカリ総裁
    これまでの利上げが労働市場に対して大きな効果を出しているような証拠は、まだそれほどない。今後労働市場を均衡させる必要があり、当局として、まだやらねばならない事がある。
  • NY連銀 ウィリアムズ総裁
    インフレ率を確実に2%へと回帰させるために、十分に抑制的な政策スタンスを数年間維持する必要があるだろう。
  • FRB ウォーラー理事
    当局はインフレ抑制で前進をしてきたが、まだその取り組みは完了していない。その取り組みは長い戦いとなりそうで、金利の水準は現在ある一部の予想水準よりも一段と高いところに長く留まる可能性がある。
  • FRB クック理事
    当局の利上げはまだ完了していない。金利を十分な抑制的水準に据え置く必要がある。

これら4名のコメントは、年明けから強まった「インフレが向こう数ヵ月で急低下し、政策スタンスが緩和的になる」との思惑を強く否定するものです。

8日のNY株式市場はこうした発言を受けて上値を抑えられ、また「AIチャットボットの回答の正確性に懸念」というニュースによるアルファベットの急落もあり、下落しました。

今後のリスク資産動向は、FRBの強いスタンスを受けて上値の重い状況が続くと思われます。投資にあたっては、今しばらく慎重な態度が求められると考えています。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。