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マイクロソフトを巡る綱引き−金融のプロが教える“経済の見方” 第38回

マイクロソフトの決算

1月24日にマイクロソフトが2022年4Q(10-12月期)の決算を発表しました。売上高が2%増(前年同期比)の527億ドル、純利益が12%減(前年同期比)の164億ドルで増収減益という結果でした。

部門別に売上を見るとProductivity and Business Processes部門が7%増の170億ドル、Intelligent Cloud部門が18%増の215億ドル、More Personal Computing部門が19%減の142億ドルでした。サーバー製品やクラウド・サービスが好調な反面、個人向けの部門が伸び悩んだことがうかがえます。

また好調なアジュールは人工知能(AI)分野の成長に伴うクラウド向け支出の追い風を受ける可能性もありますが、景気減速による影響で2Q(4-6月期)以降は収益が伸び悩む懸念があるとしています。

現在伸び悩んでいるOSやオフィスアプリは従来収益の中心でしたが、AIおよびアジュール・クラウド・サービス中心へシフトし構造を変革する姿勢を明確にしました。また景気減速への備えとして今月1万人のレイオフを実施しコストカットを行っています。

強気と弱気の綱引き

株式市場は、マイクロソフトの今後の考え方と見通しについて、強気と弱気が綱引きする展開となり、頭の重いもみ合いの展開となりました。1月25日のNY株式市場終値はNYダウ平均が9ドル高、S&P500が0.7ポイント安、NASDAQが20ポイント安となっています。

一方、大手金融機関の有力なストラテジストの人々は総じて慎重な姿勢です。

「2023年は米国経済が企業の収益不況に見舞われる厳しい年になる」
(モルガン・スタンレー マイケル・ウィルソン氏)

「慎重姿勢から離れたリスクを増やすのは時期尚早」
(クレディ・スイス マイケル・ストロバーク氏)

「景気が下降局面に向かっている時期に株式市況は上昇している。これは一斉に売る舞台を整えることになる」
(JPモルガン・チェース マルコ・コラノビッチ氏)

今月末にFOMCの開催を控える中、これまでマーケットは「インフレ沈静化、金融引き締めスピードの減速から金融緩和」を描いて上昇してきていますが、これから発表される決算やFOMCの結果によりどのような展開となっていくのか注目されるところとなります。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。