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景気後退とコモディティ市場に注目−金融のプロが教える“経済の見方” 第35回

2023年のマーケットが開始

新年の株式市場の動向を見ると、新型コロナに対する規制緩和を行った中国では本土上海市場、香港市場が+27、+363とともに堅調なスタートとなりましたが、米国ではNYダウ平均-10ドル、S&P500-15、NASDAQ-79と慎重な動きとなりました。

一方、国内株式市場は世界経済の景気後退を織り込む動きが強まり、また129円台まで進んだ円高を嫌気して日経平均株価は377円安と大きく下落しました。

4日の米国市場ではテスラが販売目標に届かず大きく下落。また、アップルは製品供給に対しての懸念が強まり下落しました。昨年、株式市場をリードしていたGAFAMから下落し、金利上昇とともに今後さらに業績の悪化から株価を落とす可能性が高まっています。

国内企業も当面はこうした米国の景気後退と新型コロナで出遅れた中国経済の影響を受けると考えられ、また為替が円高方向へ進むならば、輸出関連企業を中心に厳しさが増すと思われます。

2023年はコモディティ市場に注目か

本年の日米株式市場については、年末に「年前半に厳しい環境が想定され、後半に入って徐々に回復へ向かうのではないか」とコメントしています。当面は慎重な対応が必要と考えています。

一方、米国のFRBによる金融引き締めとともにピークを形成し始め下落傾向にあるコモディティ市場ですが、昨秋以降に米国のインフレ率は下落しており、今後FRBがいつ引き締めから緩和へ転じるのかがポイントになりそうです。

というのも、今年は世界的な景気後退が予想されており、コモディティの底値が形成されると考えています。特に原油市場では米国の原油備蓄放出が終了し、今後は逆に新たな備蓄に向けた原油の買い付けが始まります。また中国も新型コロナで出遅れた景気回復が春以降に少しずつ進展すると考えられ、原油の需給が世界的に締まると思われます。

こうした動きは徐々に金銀や穀物にも広がっていくと思われ、金融緩和とともにインフレ第2波がスタートすることも考えられます。しかし、景気後退局面にある状態で金融緩和に転じていたとすれば、再度引き締めに向かうのは難しいと思われます。

緩和による流動性の供給により商品市場、株式市場ともに来年再来年と上昇に向かうのではないかと考えています。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。