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2023年の金融市場の展望−金融のプロが教える“経済の見方” 第34回

過去40年にない年となった2022年

インフレに始まり、ロシアによるウクライナ侵攻、そして世界的な利上げラッシュと、過去40年間になかった出来事が相次いで起きた2022年もまもなく終わります。来たる2023年はどのような年になるのでしょうか?

干支を見ると来年は卯年になります。国内の株式市場ではこの卯年の後にくる辰年、巳年で「辰巳天井(たつみてんじょう)」と言われる株価上昇が良く形成されており、卯年が株価上昇の起点になる年として注目されます。

しかし、世界的なインフレと利上げによる景気減速、企業業績の悪化は、これからが本番と考えられます。2023年前半の株式市場は欧米を中心として下落局面が続くと思われます。特に1-3月期に注意が必要で、4-6月期に底値を形成し、年後半に徐々に上昇するイメージを描いています。

2023年の金融市場の展望

米国の株式指標S&P500において2年連続下落は過去に4回ありますが、2年目の下落率の平均は▲24%となっており、1年目よりも下落率が大きくなっています。12月21日のS&P500終値は3,878です。ここから20%下落としても3,102ですので、3,000程度までの覚悟が必要かもしれません。ただ、JPモルガンやモルガンスタンレーのストラテジストは、下落後の反発を見込んでおり、年末には3,900~4,000レベルを想定しています。

一方、国内の株式市場においても来年早々は、欧米の景気減速と新型コロナウイルスに苦しむ中国の影響もあり、前半は厳しい環境が続くと考えられます。しかし、徐々に活気を取り戻しつつあるインバウンドや大企業を中心に起こりそうな久々の高い賃上げ、そして政府による半導体、脱炭素、DXなどへの投資支援などを起爆剤に年後半に向けて景気の盛り上がりと株価上昇が期待できると考えています。

来年はその後に来たる上昇相場に向けた仕込み時期と考え、しっかりとしたポートフォリオ構築をする準備をしていただければと思います。

【株価見通し】

 底値年末
日経平均株価23,500円~24,500円29,000~30,000円
S&P5003,000~3,1003,900~4,000

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。