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米株式市場の見通しを下方修正−金融のプロが教える“経済の見方” 第28回

米国株の行方

11月9日の米国株式市場は大きく下落しました。8日に行われた中間選挙の開票が進む中、下院では共和党が優勢とは言うものの当初予想された強さがなく、上院は大接戦になっており、この混戦状態が引き金となったと見られています。

10月に入り米国株式市場は堅調な動きを見せ、NYダウ平均で約4,400ポイント、S&P500で約300ポイント上昇しましたが、FOMC後高値波乱となる中、決算発表での下方修正や暗号資産(仮想通貨)市場の大幅下落の状況もあり、大幅下落となりました。

米国株式市場の見通しを下方修正

すでに今月に入り、ゴールドマンサックスは米国株式市場の見通しを下方修正しています。S&P500の1株利益予想を2022年226ドルから224ドル、2023年234ドルから224ドル、2024年243ドルから237ドルと引き下げ、S&P500の水準について2022年末3600、2023年4000としました。もし今後、米国景気がリセッション入りするなら11%程度の下落となるともコメントしています。

しかし米国株の長期的な下落は、FRBによるインフレ対策としての金融引き締めが大きな原因となっており、その利上げや市場からの資金引き上げは未だ終わっていません。

利上げについては「12月のFOMCで0.5%になるのではないか?」と、従来言われていた0.75%より小幅になるとの観測が出てきていますが、それでも大幅な利上げであり、インフレが沈静化するまで利上げは続くと思われます。こうした利上げ継続により企業業績はさらなる下方修正を余儀なくされると考えられます。

まだマーケットではリセッション入りするとの考えにまでは至っていませんので、リセッションの認識が出始めると株式市場の下落はさらに進むのではないかと思われます。それをゴールドマンサックスでは但し書きでコメントしたと考えられます。米国株式市場のさらなる下落に警戒が必要です。

来年に向けて国内株式市場も注意が必要

米国経済がリセッション入りすると、すでに減速が見られる中国と合わせ、世界的な景況感の悪化に繋がる可能性があります。そうなると日本企業にも注意が必要をなるのではないでしょうか?

円安により国内企業では輸出企業などに上方修正が出ていますが、来年に向けては国内株式市場についても十分に注意が必要と考えています。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。