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米利上げペースが落ち着く可能性−金融のプロが教える“経済の見方” 第27回

米国の利上げペース緩和観測

米国の利上げペースについて、緩和観測が出始めています。11月のFOMCでの0.75%利上げについて異論は無いようですが、12月の利上げ幅についても今まで0.75%と言われていたのに対し、0.5%に落ち着くのではないかという憶測がマーケットで取り上げられています。

この緩和観測を受けて米国株式市場は堅調な動きを見せ、米国債券市場では一時4.2%台まで進んだ10年債利回りが4.0%まで低下しました。為替市場でもドル円で146円近辺まで円高となっています。

転機となったポイント

転機を迎えたポイントとしては、今月発表された住宅価格の状況が変化してきている事が挙げられます。S&Pケースシラー住宅価格指数は年初前年同月比で20%を超える上昇をみせていましたが、8月は13.1%の上昇、前月比では1.3%下落と鈍化の動きを見せ始めました。

米国内の物価上昇で注目されていたガソリンなどのエネルギーや穀物など食料品については落ち着きを見せており、住宅が落ち着いてくれば後は賃金のみとなってきます。

「賃金も今後の景気減速とともに徐々に落ち着くのではないか?」こんな考えからFRB理事も含めてペースダウンのイメージが出てきたと思われます。

インフレの沈静化と結び付けてはいけない

利上げのペースダウンと言っても米国内のインフレが完全に沈静化したわけではなく、利上げもまだ続いているわけですので、「利下げ」になるわけではありません。ただ来年に向かって「景気減速」「利上げ停止」を意識し始める事になるのかもしれません。

「景気減速」「利上げ停止」となれば「強いドル」にも調整が考えられ、マーケットは現在大きく調整している「インフレトレード」に注目していくのではないでしょうか。

まだ先の事とは思いますが、「金」「暗号資産」などが再度注目される可能性が十分にあります。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。