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2023年の世界経済見通しが発表−金融のプロが教える“経済の見方” 第25回

World Economic Outlook発表

IMF(International Monetary Fund:国際通貨基金)は11日に世界経済見通し(World Economic Outlook)を発表しました。見通しの概要は次の通りです。

 2021年2022年2023年
世界6.03.22.7
先進国5.22.41.1
米国5.71.61.0
ユーロ圏5.23.10.5
英国7.43.60.3
日本1.71.71.6
新興国6.66.63.7
中国8.18.14.4
インド8.78.76.1
(単位:%)

世界の経済成長率は、2021年6.0%から2022年3.2%、そして2023年2.7%と鈍化を予想し、2023年が前回から0.2%低下しました。3.0%割れの水準は、2000年以降では初めてとなります。

先進国では2023年1.1%と前回より0.3%低下で、ユーロ圏0.5%・英国0.3%そして米国1.0%となっています。特に欧州の低下が顕著となっています。その中でも、日本は2022年1.7%、2023年1.6%で先進国の中では落ち着いた様子となっています。

一方、新興国では2021年の6.6%から2022年3.7%、2023年3.7%と先進国と比べれば高いもの今までの高成長が影を潜めつつあります。特に中国は2023年4.4%へ少し戻りを見せるものの2022年3.2%と今までにない低い水準となっています。

こうした見通しについてIMFは、「世界経済活動は広範にわたり、かつ当初予想より大幅に鈍化している。物価は数年ぶりの高水準を上回っている。生活費の危機や、大半の地域で見られる金融環境の引き締まり、ロシアのウクライナ侵攻、長引く新型コロナウイルスのパンデミックが全て、経済見通しに重くのしかかっている」としています。

また、IMFチーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は「米国、中国、欧州の3大経済圏は失速を続けるだろう。最悪の事態はこれからで多くの人々にとって2023年は景気後退のように感じるだろう」との見解を示しています。

今回の見通しは、今までにない世界経済全体が低迷することを想定したようなものとなっています。いまだに終わりの見えない「ロシアのウクライナ侵攻」や「インフレ」が大きな影を落としています。

今後、ウクライナ情勢に対する世界各国の対応やインフレに対する各国政府ならびに中央銀行のかじ取りが注目されます。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。