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年末にかけて変動するS&P500−金融のプロが教える“経済の見方” 第24回

修正相次ぐS&P500種の見通し

9月初めに「修正迫られるS&P500の見通し」としてコメントしましたが、その後、大手金融会社からS&P500の見通しについて修正が相次いで出されています。下記は修正後の見通し一覧になります。

 7月時点の見通し修正後の見通し修正発表日
ゴールドマン・サックス430036009月22日
クレディ・スイス430035009月23日
UBS415040009月06日
バンク・オブ・アメリカ360030209月15日
【発表されている修正後のS&P500の見通し】

期待と失望を繰り返す米国株式市場

S&P500の水準は、6月17日に3674.84の安値をつけた後、マーケットに広がった楽観論に支配され、8月15日の4297.14まで16.9%上昇しましたが、FRB高官の発言やジャクソン・ホール会議でのパウエルFRB議長の講演を受けて9月6日には3908.19まで下落しました。

その後、再度マーケットの引き締め度合い緩和への期待から9月12日の4110.41まで反発しましたが、FOMCの結果を受けて9月30日3585.62まで下落しています。

このように株式市場では、日々発表される経済指標の結果を受けてFRBのスタンスに対する期待、あるいは失望を繰り返して株価の上昇下落を繰り返しています。

強い意志を示すFRB

しかし、ジャクソン・ホール会議や9月のFOMC後のパウエル議長のコメントからFRBがインフレに対して強い姿勢で臨む事は明らかです。また6月から実施しているFRBの保有有価証券の圧縮による量的引き締め(QT)475億ドルは、9月から950億ドルと倍増し、急激な金利上昇とともに米国経済へ強くインパクトを与えるものになると考えられます。

さらに変化する見通し

このような観点から大手金融各社は今後の企業業績の悪化の可能性とバリエーションの変化などを考慮し、米国株式市場について「金利上昇で株価下落となる逆金融相場」から「企業業績悪化により株価下落となる逆業績相場」へ移行するとし株式市場の見通しを修正しています。まだ修正を発表していない会社もありますが、今後企業による修正発表や経済指標の悪化を見ながら、さらに修正をするのではないでしょうか。

各社の予想水準は、年末に向けたものと思われますので、来年に向けてはさらに厳しい水準を考えた方が良いと思われます。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。