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修正迫られるS&P500の見通し−金融のプロが教える“経済の見方” 第19回

調整色を強める米国株式市場

8月26日のジャクソン・ホール会議でのパウエルFRB議長の講演で、今後の米国における金融政策の方向性が強い引き締め方針であることが確認されました。米国株式市場では金融引き締めにより起こる企業業績の悪化および景気の減速について織り込みを始めています。

講演前日の25日から8月31日までの5日間における米国株式3指数は、NYダウ平均▲1,781ドル(▲5.35%)、S&P500▲229(▲5.47%)、Nasdaq▲823(▲6.51%)と大きな下落となっています。

7月に米欧の金融機関各社は、S&P500の年末の見通しを発表していましたが、今後の景気後退を見据えた見通しの修正を迫られることになりそうです。

7月時点の米欧金融機関によるS&P500の見通し

下記は各金融機関が発表した7月時点でのS&P500の見通しです。下記は今後、金融引き締め動向に応じて修正される可能性が十分考えられます。

金融機関名予想株価水準
JPモルガン4800
ゴールドマン・サックス4300
クレディ・スイス4300
UBS4150
モルガン・スタンレー3900
バンク・オブ・アメリカ3600
※8月31日のS&P500終値:3969.30

ちなみに、40年前のS&P500は60〜140の間を推移していました。下記はその時のチャートになります。現在と比較し、いかに成長しているかがわかると思います。

引用元:TradingView

今回の米国のインフレは40年ぶりで、米国長期金利はその後40年間下がり続けてきました。今回のインフレにより長期金利の低下が終わり、米国は新たな時代を迎えると考えた方が良さそうです。

40年前のインフレ時における株式の調整は約2年間(1973-1974年)続きました。またS&P500の水準は約50%の下落となっています。今回のインフレがいつ終わりを迎えるかはわかりませんが、米国株式への投資は個人的にしばらく慎重に考えた方がいいかもしれないと考えています。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。