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強い利上げを経た今後のマーケット – 金融のプロが教える“経済の見方” 第15回

米国FRB、2ヵ月連続で0.75%利上げ

米FRB(連邦準備制度理事会)は、6月に続いて0.75%の利上げを実施しました。FF金利の誘導目標レンジは2.25%-2.50%となりました。

FOMCは会合後に発表した声明で、「インフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしており、インフレリスクに細心の注意を払っている」と説明しました。また目標の達成を妨げ得るようなリスクが出現した場合は政策を調整するとしています。

パウエル議長は「当面の目標を達成するためには景気減速が必要だ」と繰り返し述べており、マーケットの考えるハト派的な考え方には至っていないと思われ、9月の利上げも強いものになると思われます。

一方、マーケットはパウエル議長の「利上げペースをいずれ落とすことになる」とのコメントに反応しました。また、FOMC後の安堵感も手伝い、株式市場は大きく上昇しています。債券利回りは大幅に低下、ドルは安くなりました。

当面のマーケット

マーケット関係者の間では、今回のFOMCがマーケットの期待通りの結果であったとし、金融政策の不透明感が後退したとの考える向きも多く出ているようです。今後、9月のFOMCまでは個別の指標発表があるものの、金融引き締めの緊張感が和らぎ、やや楽観的な展開にマーケットがなるかもしれません。

しかし、米国のインフレが沈静化したわけでもなく、またウクライナ問題や中国経済の動向など不透明な部分が多くありますので、米国株式市場の反発があったとしても、長期下落相場の一時的な反発局面との認識を念のため持って対応して行くのが良いのではないでしょうか。

国内のマーケット

今後の国内マーケットでの注目点は為替の動向です。今年前半はドル全面高の中で、さらに円安が進む状況でした。ドル円相場では一方的な円安展開が徐々に変化を見せ始めているように思われます。

年末に向けて円相場をきっかけとして、国内マーケットに明るさが出てくる事を期待しています。

Profile ◉倉本 佳光(くらもと よしみつ)
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。
その後メリルリンチ日本証券株式会社、岡三アセットマネジメント株式会社で手腕を発揮。
これまでにリテール及び機関投資家への営業、上場企業の資金調達、IPO、M&Aなどの業務を担当し、現在では「株式会社J-CAM」にて総合的な金融コンサルタントとして活躍している。