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Vol.30 リップル信者・鈴木 宙の「仮想通貨500万円が50万円になりました」

〜走る走る俺たち!〜

とどまることの知らない新型コロナウィルスの蔓延。最近は、マスクどころかトイレットペーパー、はたまた米までスーパーやコンビニからなくなっている。

フリーライターの僕も、取材が中止になったり、インタビューの仕事が延期になったりと、仕事は週を追うごとに減ってきている。
先月までは、あまり自粛ムードも…と思っていたが、明らかに自分も仕事に影響が出始めてきた。

しかも、僕は「3年B組 金八先生」のOPにも出てくる荒川ぞいのマンションに住んでいるので、週末や夜になると、荒川近辺の歩道を一般ランナーが走っている。
そういう人たちは、近隣のコンビニの駐車場を休憩所にするので非常に迷惑である(※あくまで個人的見解です)。
日本という国が国家レベルで、コロナウィルスの感染の拡大を防ぐために、学校を一斉休校にしたり、安倍首相がイベントの自粛を促したり、「不要不急」の外出を控えるよう訴えているのにもかかわらず、一般ランナーは僕ん家の周りをルンルンと走りまわっている。
なんて、お気楽な人たちなのだ。
もし、この人たちの中に一人でもコロナ感染者がいたら、我が家の周りのコンビニは壊滅である。どうしても走りたいなら、武漢の周りや38度線あたりでも走ってきておくれ! 頼む!

さて肝心の仮想通貨は、この1週間、多少の上下はあったものの、あまり動きはない。僕の手持ち資産も数万円減ったくらいだ。
ただ、自身の周りでは、仮想通貨関連で大きな出来事があった。

僕は、フリーライターのかたわら、2年前から社員は20人規模の中小企業で働いている。
僕の父が働く会社の部下が、副業で始めた物流系の人材派遣会社だ。そこで自分は、総務として会社のHPに月一くらい求人募集の文章を書いている。
そもそも、この会社は、社長の奥さんが、FXとビットコインで3千万円稼いで設立された。さらに、社長が自宅を担保に2千万円くらい銀行から融資を受けて起業をした、なかなかコクのある会社である。

社長は、物流系の人材派遣会社で働く友人(現・副社長)と、不動産会社を定年退職した知り合い(現・専務)計3人の役員と、10人くらいの社員でスタートした。

だが、最初は社長が出資した運転資金で会社は回っていたものの、ここ数ヶ月、会社の雲行きが怪しくなってきた。
物流の仕事はあるのだが、派遣する人材が足りないのだ。地元の求人サイトやタウン誌とかで募集をかけても、当日、面接に来ないこともしばしば。
しかも、いざ雇用したところで、
「仕事場に行く(車の)ガソリンがなくて…」
「今日、飼っている犬が病気で…」
「今より時給の高いバイトが見つかったので…」
「昨日、飲み会で飲みすぎちゃって…」
「今、仕事に行ってコロナにかかったら困るんで…」とか、大人とは思えない言い訳で休んだり、辞めたりする人も多い。
一番多いのは、ある日、何の連絡もなく突然来なくて仕事を飛ぶ人だ。
僕もたいていクズな人生を歩んできたが、クズ度が半端ない。しかも、仕事を連絡なしで飛んでも、数日後に、それまで働いた分の給料を要求してきたりする人もいる。

そもそも、そんな会社なので資金繰りが危うくなり、社長の奥さんがヘソクリで持っていた最後の虎の子(奥さん曰く、社長の家の最後の資産)10ビットコインを売却して、会社に貸し付けることになった。
しかも先月、一番の取引先の物流倉庫会社が倒産し、毎月固定で入ってきた約1000万円の売り上げがなくなっている。
先日、本業の人材派遣業以外に会社を立て直すために新事業を始めようと、役員と僕で緊急会議が開かれた。
僕は、この会社で唯一、大学を卒業している。それと諸事情で月に1回しか会社に行ってないので、まだ社内でクズだということがバレていない。一応、社員からは一目置かれている。ま、そのレベルの会社なのだ。

さて、ここで驚いた。
もう、完全に会社が傾きかけているので、社長の奥さんが貸し付けた形の10ビットコイン分の資金の使い道を、役員たちは会社の立て直しより、日銭を稼ぐ方向に目線がいっている。

社長は「競馬」が趣味で年間何百万円か稼いでいるらしく「俺が馬券で稼ぐから、何とかこの危機を乗り越えよう」と言っていた。
副社長は「麻雀」が趣味で「雀荘なら、私は人脈もあるから客呼べるし初期費用は安くオープンできる」。
専務はまさかの「フィリピンパブにフィリパブ嬢の派遣をしたい」。
そして本部長は、その上をいく「いやフィリピンの子を雇うくらいなら熟女パブの方が安定して稼げる」。

言っておくが、全員50代の会議である。

雀荘やフィリピンパブをやるのは構わないが、倒れかけの会社が新規事業としてやるものなのか? 資金繰りに余裕のある会社が、余力でやるものだと思う。絶対、みんなおかしくなっている。

やはり世の中、「お金」である。

会社の資金繰りがうまくいかなくなると、とんでもない方向に話が飛んでいく。
僕は、何か意見を言って万が一採用されると、その新事業に加わらないといけなくなるので、とりあえず黙って聞いていた。

結局、「コロナで世間が混乱している今、新規事業を立ち上げるリスクの方が高い」と、最終的に意見は落ち着き、とりあえず副社長の幼馴染が務める地銀から融資を受けるになった。
幸いウチの会社は、軽トラや重機、フォークリフトなどの資産を保有しているので、それを担保に融資を受けられたが、このままだと夏までしかもたないと会社の顧問税理士に言われている。さらに、コロナの感染拡大で人が集まらない。困ったものだ。

1日でも早くコロナも、ウチの会社のバタバタも落ち着いてほしいものだ。

Profile
文◉鈴木 宙(すずき・そら)
アメリカ・ワイオミング州で幼少期を過ごす。小学生の時、誕生日に買ってもらったマッキントッシュでプログラミングに目覚めるも、親の事業の失敗により日本に帰国。それ以来、原稿は手書きで書くのが信条。
小学生の時に市内のポートボール大会で優勝し、この競技で世界一を目指すことを決意する。
しかし、中学にはポートボール部がなく、バスケ部に入るも仮入部の段階で突き指をし、部活を断念。演劇部に入る。
とはいえ、演劇部には僕1人しか部員がおらず、3年間1人芝居を余儀無くされる。高校卒業後は、演技の勉強をするためにハリウッドで修行。だが、お金が続かなくなり帰国。その後、3年間、かしわもち工場で、もちに葉を巻きつける仕事をして100万円稼ぐ。そのお金を元にアメリカ・ペンシルバニア州に再度ダンス留学。
このとき、路上でダンスの練習をしていたら、サトシナカモトと出会い仮想通貨に魅了される。でも、後にそのサトシは偽物の詐欺師だったと判明。「ダンサーズコイン」なる偽物の仮想通貨を数十万円買わされて無一文になり帰国。
色々あった後、「仮想通貨で失った金は仮想通貨で取り返せ」を信条にリップルに投資。しかし購入後、大暴落。だが未だにリップルの可能性を追い求めているリップラー。
現在はフリーのライターとして活動すると同時に「月刊仮想通貨デジタル」の記事編集、執筆を手掛けている。


Twitterアカウント→ @sora50050