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Vol.29 リップル信者・鈴木 宙の「仮想通貨500万円が50万円になりました」

〜翼の折れたエンジェル〜

うわ、しまったー! やってもうた!!(泣)

今年の正月に起きたアメリカとイランの抗争から、今回のコロナウィルスまで…世界情勢が混沌としている昨今。

仮想通貨価格は上昇するのか? もしくは下がるのか? 
こういう時こそ、投資家の退避先としてビットコインが選ばれて「買い」が殺到するのか?

くしくも、僕は仮想通貨500万円を50万円にしてしまった男だ。負け癖もついていて慎重になってしまう。

今の情勢で、仮想通貨が、上がるのか、下がるのか、それともたいして価格の上下がないのか、3択だ。

僕は、正月のアメリカとイランの抗争の際、迷いに迷った挙句、仮想通貨ユーザーとしては一番ダサい「様子見」を選んでしまった。
全ての手持ちの通貨を、一旦ビットコインに変えた後、ステーブルコインのテザーに変えてしまったのだ。もう法定通貨のドルを持っているのと変わらない。わざわざ仮想通貨で持っておく必要がない状況である。

そして、テザーにしてから数日後、ビットコイン価格は上昇する。しかしステーブルコインにしてしまった僕は、なんの変わりばえもしない状況。もしかしたら、下落するのではないかと安全策を取ってしまった自分の器の小ささを嘆いた。
僕はビットコイン強気派でも、ビットコイン否定派でもなく、ビットコイン弱気派(造語)になっていた。

仮想通貨みたいなボラティリティの高い通貨に投資をしているのに、ステーブルコインを選んだ僕が間違いだった(有事の際はステーブルコインにしといた方が安全という意見もあり、これには諸説あります)。

で、だ。現在、世界に蔓延して止まることの知らないコロナウィルス。なんでも、中国では紙幣についたウィルスからの感染も危惧し、一度使われた紙幣は洗浄してから再利用される徹底ぶりが明らかになっている。

そこまでコロナは感染率が高いのか! びっくりしたのと同時に、こういう時こそ、仮想通貨を含む(非接触型の)デジタル通貨の出番だ! 
時は来た! これはビットコイン上昇の気配だ〜! と、個人的な見解で、年始にテザーに変えた通貨を、先月ビットコインに変えた。

ま、先月買ったばかりなので、利益は数万円しかないが、少しでも価格が上昇して正直、嬉しかった。なんせ、僕はしつこいが500万円を50万円にしてしまった出川組の仮想通貨ホルダーである。たまに、自分の選んだ銘柄が上がるだけでも、相当テンションが上がる。

さて、せっかく何万円か含み益が出たので、利確して夜遊びに出ることにした。
行き先は、新宿のかに道楽とおっぱいパブ。
知り合いの広告代理店の人間を連れて行った。

というのも、代理店の人間を連れてったのは理由がある。
その人物は、昨年末、某編集プロダクションで紹介されたのだが、15分くらいしか話していないのに、先月、ショートメールでギャラが1本300万円の原稿の仕事を3本依頼してきたのだ。ブラボー! 仮想通貨で500万円失った分を取り戻せる上、貯金もできる。
しかし、不安があった。ギャラの合計900万円。たった15分しか話してない相手にショートメールで仕事をふってきたのだ。しかも、僕の書いた原稿すら読んでいないのである。

怪しい……。

900万円といえば、消費税を入れたら990万、約10BTCは購入できる額なので、その話に乗っかりたい。ただ、額が額だけに、こういう案件は未払いが怖いので、カニとおっぱいで酔わせて本音をはかせることにした。

とりあえずカニを食べながら「今後、10万円以上単位の仕事を持ってきたら1割くらいは何かしら接待するので、よろしくお願いします」と言ったら、目を輝かせてすぐ乗っかってきた。そして「出来たら、0.5割でいいのでキャッシュで頂けると……」とまで言ってくる。2回しか会ってないのにキックバックまで要求してくるとはなんたるツワモノ。流石にキックバックは断ったが、一応大人のお付き合いとして接待は約束した。

カニで接待しただけで、そこまで転ぶなんて……やばい人間なのが判明した。しかし、こういう人間こそが、経験上、単価の高い仕事を持ってくる。僕はクズなのでとりあえずご機嫌を取っていた。
「コイツ(失礼)は金になる!」と思ってヨイショしていたら、いろんな仕事の話を振ってきた。
仕事自体は原稿書きと、カメラマンやタレントのブッキングなので、こんな楽な話はない。

カニと酒でお互い酔っ払ったところで、「次、行きますか!」とおっぱいパブに連れて行った。
僕は潔癖症なので、他人が吸ったおっぱいを触ることができない。いつも、店内で周りのサラリーマンが楽しんでいる姿を見て、それを肴にウィスキーを嗜んでいる。単なる、カッコつけ野郎だ。
しかし、この代理店の男は、店の女の子にあれやこれや、ここの文章では描きあらわせないことをしてハッスルしていた。とりあえず、自分に正直な人間なのだろう。
店を出たら「鈴木さん、最高っス! 仕事いっぱい取ってくるんで、またお願いします」と繰り返してきた。

それから……。
1週間経っても、300万円の仕事が振られてこない。僕は、この代理店の人間に10万円分くらいは奢っている。
会社に電話したら、「インフルエンザで休んでいる」と言われた。
一応、本人にメールしたら……「鈴木さん、すみません。おっぱいパブに行った翌日に体調を崩してインフルエンザにかかりまして。来月までお待ちください」と謝罪メールが来た。

結局、この代理店の人間からの仕事は、未だこない。しかし、おっぱいパブでインフルエンザにかかるとは……。本当に仕事が来るのか不安になってきた。

Profile
文◉鈴木 宙(すずき・そら)
アメリカ・ワイオミング州で幼少期を過ごす。小学生の時、誕生日に買ってもらったマッキントッシュでプログラミングに目覚めるも、親の事業の失敗により日本に帰国。それ以来、原稿は手書きで書くのが信条。
小学生の時に市内のポートボール大会で優勝し、この競技で世界一を目指すことを決意する。
しかし、中学にはポートボール部がなく、バスケ部に入るも仮入部の段階で突き指をし、部活を断念。演劇部に入る。
とはいえ、演劇部には僕1人しか部員がおらず、3年間1人芝居を余儀無くされる。高校卒業後は、演技の勉強をするためにハリウッドで修行。だが、お金が続かなくなり帰国。その後、3年間、かしわもち工場で、もちに葉を巻きつける仕事をして100万円稼ぐ。そのお金を元にアメリカ・ペンシルバニア州に再度ダンス留学。
このとき、路上でダンスの練習をしていたら、サトシナカモトと出会い仮想通貨に魅了される。でも、後にそのサトシは偽物の詐欺師だったと判明。「ダンサーズコイン」なる偽物の仮想通貨を数十万円買わされて無一文になり帰国。
色々あった後、「仮想通貨で失った金は仮想通貨で取り返せ」を信条にリップルに投資。しかし購入後、大暴落。だが未だにリップルの可能性を追い求めているリップラー。
現在はフリーのライターとして活動すると同時に「月刊仮想通貨デジタル」の記事編集、執筆を手掛けている。


Twitterアカウント→ @sora50050