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Vol.28 リップル信者・鈴木 宙の「仮想通貨500万円が50万円になりました」

〜バレンタインデー・キッス〜

ここ数日、体調があまり良くない。病院に行って検査したが、別にインフルエンザでも新型肺炎でもない。
まるで2年前の今頃、ぐんぐん手持ちの仮想通貨が下落し、1ヶ月で100万円以上の損失を出した時のようだ。

今、体調が悪いのは分かっている。

キャバクラの「バレンタインイベント」でもらった「チョコレートドーナツ」を食べたせいだ。

バレンタインイベントを簡単に説明すると、キャバ嬢が「チョコをあげるから飲みに来てー!」と、単にお店でチョコをもらう催しだ。
「バースデー」や「クリスマス」に次ぐ、キャバ嬢の営業イベントである。

キャバクラは矛盾だらけの空間だ。

なぜ、バレンタインチョコ(約数百円程度)をもらうために、1回行ったら数万円も支払いが発生するお店に行かないといけないのか……。
まるで仮想通貨のようにボラティリティが高い。いや、数百円のチョコをもらうために、数万円払うなんて草コインの上昇レベルである。

僕も、バレンタインの時期になると営業LINEがじゃんじゃんくる。決まって、「鈴木さんにチョコを渡したいの」と書かれている。

いや、渡したいなら、別に、外でデートでもして渡してくれればいいじゃん……と思うが、キャバ嬢の頭の中では「(お店に来てもらって、お金を払ってもらった上で)渡したい」というのが本音なのは誰でも分かる。
逆に、キャバクラでもらったチョコを「本命チョコ」だと思っている奴はヤバい。毎年、バレンタインの時期にキャバクラに行くとチョコをもらったお礼にと……数万円のシャンパンを入れる客もいる。だいたい見た目からしてモテない感じの男だ。でも、こういう人がいるから、世の中でキャバクラなる仮想恋愛空間が営業できているのだろう。

で、だ。こんなことを言いながらも、僕も先週の14、15日、キャバクラのバレンタインイベントを8件もハシゴしてしまった。1ヶ月前から毎日しつこく誘ってくる子や、過去にいろんな意味でお世話になった子への義理は果たしたつもりだ。

だいたいの女の子はゴディバとか既製品をくれたのだが、赤羽のキャバ嬢Aちゃん1人だけチョコではなく、溶かしたドーナツにチョコを浸して作ったチョコレートドーナツをくれた。

僕が指名しているそのAちゃんは「鈴木さんのためにチョコレートドーナツを作ったから、どうしても貰って欲しいの」と言ってきた。
僕は、この子と焼肉屋に行くと、こっちに断りや遠慮もなく、シャンパンを入れたり、上カルビや上ロースを平気で図々しく頼むので、最近は、この子とご飯行くときはサイゼリアにしか行っていない。
しかも、六本木の芸能界界隈の人間しか入れないバーに一回連れてったら、以降、「鈴木さんの知り合いです」とか言って友達と入店して業界人を気取っている(黒服から聞いた情報)。そういうことがあって、基本的に距離を置いていた。

さて今週の月曜のことだ。
僕はキャッシュカードやクレジットカードが入った財布を落としてしまった。友達に借りに行くのにもお金がない。しかも、僕は自炊をしないので、部屋に食べ物が一切ないのだ。
プロミスやアコムからお金を借りたくても、身分証明書の類が一切ない。手持ちの仮想通貨も、キャッシュカードがないので損切りしてもお金を下ろす出口がないのだ。
仕方ないので親にお金を送ってもらうことにしたが、地方在住なので最短でお金が届くのは水曜日だという。

ここで、一つの光明が差し込んできた。Aちゃんが作った手作りドーナツをまだ食べていなかった。というのも、僕は衛生面にデリケートなので、「手作り」のものは食べられない。例えばお祭りに行っても、テキ屋の作る焼きそばとかりんご飴などは食べられないのだ。

しかし、今回は、1円もなく、お腹もグーグー鳴いている。

もうこうなったら、手作りだろうがAちゃんの作ったチョコドーナツを食べるしかない。
Aちゃんには「ドーナツ美味しかったよ」と嘘LINEを送っていたが、実は食べていなかった。
次のゴミ出しの日に捨てるつもりだった。ただ状況は変わった。もう食べ物はこれしか残っていない。発展途上国では生き物なら何でも食べるとテレビで見たことあるが、本当の話なのだろう。サバイバルだ。
でも、「お腹が空いたら、なんでも美味しい」というが、それは事実だった。
実際Aちゃんの作ったチョコドーナツは美味しかった…。

だが、お腹が空きすぎて、もらった5個のドーナツを、全部食べたら異変が起きた。
急に気持ち悪くなって、ベッドにしばらく横になった。
そこからは地獄だった。正露丸レベルでは治らないほど体調が悪くなった。
でも、お財布をなくしてお金がない。病院に行きたくてもお金がなくて行けない。
ビットコイン決済の病院を、ダメ元で探したが、まだそんな時代を先取りした病院はなかった。
同じく、Aちゃんの店のバレンタインイベントに連れて行って、彼女からチョコをもらった友人に電話したら、その彼も胃腸炎になって倒れていた。

とはいえ、Aちゃんに苦情を言っても始まらない。それまで興味がなかったので見ていなかったが、彼女のツイッターを見た。自己顕示欲が強いので、もしかしたらチョコを手作りしたことを書いているかもしれない。何の解決にもならないが、体調が悪くなった原因があるかもしれないと思って見たら、僕のツイッターはフォローしているくせに、彼女は鍵垢で見られない…。
ちなみに、Aちゃんの妹も僕のツイッターのアカウントをフォローしているので、のぞいたら、何とチョコを作ったのは彼女だった。
Aちゃんは「半日かけて自分でチョコドーナツを作って大変だった」と言っていたが、実は妹に作らせていた。
しかもここ数日、妹は、姉のAちゃんと喧嘩したのか、ツイッターに姉の悪口を書いた上、「キャバ嬢の姉貴がお客に渡すチョコドーナツを作らされた」と書いて例のドーナツの画像をアップしていた。
一目見て、僕が貰ったやつだった。しかも、投稿日時はバレンタインイベントの1週間前!!
1週間も前に作ったドーナツで、しかも保存料が入ってなければ、そりゃ腐るだろう。
しかも妹のツイッターを見たら、かなり雑な性格だった。何が入っているか、賞味期限が切れた素材を使っていないか恐ろしい。

仮想通貨も、賞味期限切れの銘柄もあれば、これから伸びる銘柄もあるだろう
僕は出川組として、仮想通貨デビューしたが、これから価格上昇すると思ってアルトコインを中心に買っていた。
しかし、最近はお腹を下すように、下落していったアルトコインより少しは安定しているビットコインにかけるのがいい気がしてきた。

Profile
文◉鈴木 宙(すずき・そら)
アメリカ・ワイオミング州で幼少期を過ごす。小学生の時、誕生日に買ってもらったマッキントッシュでプログラミングに目覚めるも、親の事業の失敗により日本に帰国。それ以来、原稿は手書きで書くのが信条。
小学生の時に市内のポートボール大会で優勝し、この競技で世界一を目指すことを決意する。
しかし、中学にはポートボール部がなく、バスケ部に入るも仮入部の段階で突き指をし、部活を断念。演劇部に入る。
とはいえ、演劇部には僕1人しか部員がおらず、3年間1人芝居を余儀無くされる。高校卒業後は、演技の勉強をするためにハリウッドで修行。だが、お金が続かなくなり帰国。その後、3年間、かしわもち工場で、もちに葉を巻きつける仕事をして100万円稼ぐ。そのお金を元にアメリカ・ペンシルバニア州に再度ダンス留学。
このとき、路上でダンスの練習をしていたら、サトシナカモトと出会い仮想通貨に魅了される。でも、後にそのサトシは偽物の詐欺師だったと判明。「ダンサーズコイン」なる偽物の仮想通貨を数十万円買わされて無一文になり帰国。
色々あった後、「仮想通貨で失った金は仮想通貨で取り返せ」を信条にリップルに投資。しかし購入後、大暴落。だが未だにリップルの可能性を追い求めているリップラー。
現在はフリーのライターとして活動すると同時に「月刊仮想通貨デジタル」の記事編集、執筆を手掛けている。


Twitterアカウント→ @sora50050