2022.09.27
中国・衡陽県の警察当局にあたる公安局は26日、公安取り締まりおよび是正のための「百日行動」の一環で、大規模マネーロンダリング犯罪グループを摘発したと発表した。
発表によると、摘発されたのは「9.15」と名乗るグループで、暗号資産(仮想通貨)を活用して400億元(約8,050億円)ものマネーロンダリングを行ったという。
「9.15」は2018年以降、中国の様々な都市に集金拠点を構え、詐欺や賭博に関連した犯罪資金を暗号資産に交換し、それを米ドルと交換して資金洗浄を行なっていたようだ。最終的には中国国内の多くの企業を経由して、中国本土に送金を繰り返していたとしている。
これに関連して、中国では現在、300件を超えるデジタル詐欺事件が発生していることが報告された。
衡陽県人民政府副長官で、党委員会書記兼県公安局長の劉小龍氏の指揮のもと、衡陽県公安局の「2021.9.15」タスクフォースが結成された。詐欺事件の調査から始まり、昨年12月と今年7月に、海南、広東、福建、江西州などの場所で犯罪ネットワークの摘発作戦が実施され、ホン・ムモウ(Hong Moumou)容疑者をリーダーとするマネーロンダリンググループ「9.15」の摘発に至った。
発表によると、グループに所属する93人が逮捕されたという。
10箇所以上のマネーロンダリングのアジトと集金拠点を摘発し、100以上の事件に関与した携帯電話とパソコンが押収された。また、事件に関係しているとみられる資金3億元(約60億円)を押収・凍結し、被害者の経済的損失である約780万元(約1億5,700万円)の回復に充てたという。
中国では昨年5月よりビットコイン(BTC)をはじめとした暗号資産に関する取締りを強化している。この影響を受け、昨年6月には暗号資産を利用して資金洗浄をしたとして、1100人あまりが逮捕された。
その後、9月には中国の中央銀行である中国人民銀行が暗号資産およびマイニング規制に関する警告を発表。暗号資産に関する全ての取引について「違法な金融活動」と位置付けた。取締り強化の影響を受け、中国で活動したマイニング業者などは他国へと拠点を移すこととなった。
それでも、マイニングに関しては今年に入り情勢が変わりつつある。
一時は中国を拠点とするマイニング業者はほぼ皆無となったとされていた。しかし、今年5月にケンブリッジ大学のCCAF(Cambridge Center for Alternative Finance)が発表したデータによると、1月の時点で中国がビットコインマイニングにおいて米国に次ぐ世界2位に浮上していたことが明らかになった。
こうした背景からも、中国では現在も水面下で暗号資産に関連した活動が行われているものとみられる。
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