2022.09.02
インドネシア政府が、2022年末までに暗号資産(仮想通貨)取引所を設立することがわかった。
これはインドネシアで暗号資産を含むデジタル通貨への関心が高まる中、消費者保護を念頭においた取り組みの一貫であるという。先月31日、DealStreetAsiaが報じた。
インドネシア当局は昨年、独自の暗号資産取引所を設立する目標を掲げていたが、複雑なプロセスを経ることから計画を今年の第1四半期に延期していた。
インドネシアのジェリー・サンブアガ(Jerry Sambuaga)貿易副大臣はバリ島で開催されたWIRグループによる「NXCインターナショナルサミット2022」の会見で「あらゆる要件、手続き、必要なステップを踏んだことを確認する」と述べ、この延期が重大ではないと言及した。
同副大臣は続けて、「今回の措置は我々が慎重であることを証明するものだ。暗号資産取引所を設立するためには様々な準備が必要となる。まず、どのような企業が取引所に参加するのかを確認する必要しなければならない。2つ目は、その事業体の検証。3つ目は最低資本金やカストディアン預託に関するそのほかの要件、さらに技術的な問題もある」と語り、慎重に計画を進めていく必要性を強調した。
なお、この計画ではインドネシアの商品先物取引監督庁からライセンスを付与されている25の暗号資産取引所がなんらかの形で参加することが示唆されている。
ライセンスを持つ取引所の1つで、大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)が出資するトコクリプト(Tokocrypto)のパン・フエ・カイ(Pang Xue Kai)CEOは「暗号資産取引所は、多くの参加者、多くのコミュニティ、機関投資家からの関心を寄せるインドネシアの暗号資産エコシステム全体の触媒となるだろう。業界は成長し、私達はより多くのプロジェクトを見るようになる」と語った。
一方で、インドネシアでは暗号資産は決済手段としては認められておらず、あくまでも取引商品の1つとして扱われている。
インドネシアの商品先物取引監督庁(Bappebti)によると、昨年の同国における暗号資産取引は859.4兆ルピア(約8兆円)に達した。これは2020年の64.9兆ルピア(約6,080億円)から1224%増加した形だという。また、今年6月までに暗号資産ユーザーは1510万人に達したとのことだ。
今週初めには、インドネシア最大のハイテク企業GoTo Gojek Tokopedia(GOTO)が、ライセンスを持つ暗号資産取引所Kripto Maksima Koinを買収し、暗号資産産業に進出するなど、同国での暗号資産の関心は高い。
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