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中国人民銀行、デジタル人民元を初めて公式報告書に記載

中国人民銀行(PBOC)は10日、流通中の現金(M0)の公式統計の報告書にCBDC(中央銀行デジタル通貨)であるデジタル人民元(e-CNY)を含めると発表した。

10日に発表された2022年の金融統計報告書によると、中国人民銀行は昨年12月31日時点で136億1000万元(約2,650億円)のデジタル人民元が流通しており、通貨流通量全体(10兆4700億元)の約0.13%を占めている。

現預金通貨や信託、国債等を含めたブロード・マネー(M2)では、昨年12月末時点で266兆4300億元(約5,080兆円)となり、デジタル人民元が占める割合は0.005%に留まる。通貨流通量は前年同期比15.3%増となったが、デジタル人民元を統計に含めても、マネー・サプライおよびブロード・マネーの伸び率に影響は見られないと総括している。

デジタル人民元の位置付けは「物理的な現金の発行を維持しながら、中央銀行が発行する暗号化アルゴリズムに基づいたデジタル通貨」と記されており、「現金の代替品」としてカテゴライズされるため、定義上「現金」として分類されるという。

中国人民銀行はデジタル人民元について正式な開始スケジュールをまだ発表していない。先月の経済会議においても「パイロットは着実に実行されている」と言及されたのみだ。

進行中のパイロット版は、26の大都市と、560万件の加盟店にまで拡大されている。地方自治体もデジタル人民元のバウチャー(自治体が発行する引換券、旅行券、食事券など)の提供を続けている。浙江省の沿岸都市・温州市では2月に3000万元(約5億7,100万円)相当のバウチャーを提供する予定だ。

規制当局によると、デジタル人民元は主に国内の小売用であり、中国人民銀行や香港金融管理局(HKMA)、タイ銀行(BOT)、アラブ首長国連邦中央銀行(CBUAE)の4行が共同で行う国際決済プロジェクト「mBridge」において、国境を超えた支払い効率の向上を目指すとしている。

中国では今月8日にゼロコロナ政策が事実上終了しており、経済回復に向けた立て直しが急務となる。

昨年12月には、中国経済研究センター所長で北京大学コクリ発展学院長のヤオ・ヤン(Yao Yang)経済学教授が、ゼロコロナ政策の終了を見据えた上で「これはCBDCを広める良い機会だ」と述べている。またヤン氏は、「一石で数羽の鳥を落とすことができる素晴らしいツールになる」と語っていた。

画像:Shutterstock

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