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デジタル人民元プロジェクト、第2段階に突入へ

中国は現在、実証実験を進めている中央銀行デジタル通貨(CBDC)・デジタル人民元を香港の高速決済システムに接続する作業を進めている。

中国人民銀行デジタル通貨研究所のムー・チャンチュン(穆長春)所長は9日、デジタル人民元を香港の銀行間デジタル決済システムに直接結びつけるプロジェクトが第2段階に突入したことを発表した。同日、国営メディア・上海証券報が報じた

プロジェクトの第1段階では、口座残高の補充、資金移動、支払いなどのシステムの相互運用性を実現したという。今回のフェーズでは、CBDCを活用してクロスボーダー決済を改善し、国際貿易の決済を促進することを目的としている。

ムー所長は「将来的には、本土からの観光客がデジタル人民元を使って香港で買い物をする際には、2つのウォレット間で通貨交換が完了し、現地の商人は香港ドルでお金を受け取るため、通貨の代替は不要となる」とコメントしている。

中国人民銀行と香港金融管理局間のパイロットプログラムは、クロスボーダー決済を容易にするための試みではなく、世界の基軸通貨であるドルを牽制する形となりそうだ。

米国の金融業界では、中国のデジタル人民元が国際貿易の際に使用される通貨としてドルに代わるものになる可能性があるだけでなく、経済制裁に対する脅威になりうるという懸念が以前から高まっている。

米国防総省と国家安全保障会議の関係者は、中国のデジタル人民元が世界の金融システムに与える長期的な影響について、経済制裁の回避手段として用いられる可能性があると見ているようだ

今月8日に行われた下院金融サービス委員会による「デジタル資産と金融の未来」に関する公聴会でも、デジタル人民元が取り上げられた。

公聴会では、米国通貨監督局の元責任者で暗号資産マイニング企業のCEOであるブライアン・ブルックス(Brian Brooks)氏が「今後、中国をはじめとする主要経済国の台頭により、米ドルはその優位性を当然のものとすることはできないということに関して、(中略)実用性や特徴に基づいて競争することを考え始める必要がある」と発言している。

画像:Shutterstock