2022.12.22
大手暗号資産(仮想通貨)マイニング企業の米コア・サイエンティフィック(Core Scientific)は21日、米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を南部テキサス州の連邦裁判所に申請したと発表した。
コア社は米連邦破産法第11条の申請に至った理由として、まずビットコイン(BTC)価格の長期的な下落相場を挙げた。ビットコインは昨年11月に一時6万9000ドル(当時約790万円)まで上昇したが、今年に入ってからは下落し続けており、記事執筆時点では16800ドル(約222万円)ほどを推移している。
次に、データセンターの運営で必要な電力コストの急騰。そして、一部顧客の債務不履行により、コア社の業績と流動性が低下したことを挙げている。
グロス法律事務所(The Gross Law Firm)の発表によると、この顧客とは今年7月に米連邦破産法第11条の申請を行なった暗号資産レンディングサービス業者のセルシウス・ネットワーク(Celsius Network)を指している。未払いの債務は700万ドル(約9億2,300万円)に上る。
今後は会社を清算せず、転換社債の50%を保有する債権者の支援の下で再建を目指していく。また、マイニング事業とホスティング事業は今後も継続していくとし、迅速なリストラを進め、無借金ベースでキャッシュフローを維持していくという。同社は現在もプラスのキャッシュフローを生み出しているものの、リースしている機器の融資債務を返済するには不十分であったようだ。
今年1月、ナスダックにSPAC(特別買収目的会社)上場を果たしたコア社は、ノースカロライナ州、ジョージア州、ノースダコタ州、ケンタッキー州などにあるデータセンターで約24万3000台ものマイニングマシンを運用し、ビットコインやイーサリアム(ETH)、その他暗号資産をマイニングしている。同社のハッシュレートはビットコインの総ハッシュレートの1割程度を占めるなど、大きな影響力を誇る。
破産裁判所への提出文書によると、コア社は7~9月に4億3480万ドル(約572億円)の純損失を計上し、破産申請時の流動性はわずか400万ドル(約5億2,700万円)であった。
コア社は今年10月に提出した書類で、同社の株式保有者は「投資の完全な損失」を被る可能性があると述べていた。コア社の株は年初来98%下落。時価総額は約7800万ドル(約102億円)に減少している。
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